住友林業
WOOD CYCLEで木の価値を最大化
自然資本としての木の価値を最大限に生かすWOOD CYCLEによって事業を展開する。
カーボンクレジットの創出などで森林管理を財務価値につなげる取り組みも始まった。
住友林業は、森林経営から木材加工・流通、木造建築、木質バイオマス発電までのバリューチェーン全体で木の価値を引き出す「WOOD CYCLE(ウッドサイクル)」による事業を展開している。適切な森林管理は生物多様性や水資源の保全などにつながる。森林によるCO2吸収を促し、木造建築で長期間にわたって炭素を固定することでCO2の吸収・炭素固定量を増やせる。脱炭素社会の実現に貢献する事業といえる。
森林経営では、国内第3位の約4.8万ヘクタールの森林を保有する。インドネシア、パプアニューギニア、ニュージーランドなど海外での保有面積を合計すると、約37.3万ヘクタールに及ぶ。衛星データやAIを活用し、効率的な森林管理を実践している。
木造建築で見ると、国内トップクラスの木造住宅メーカーであるだけでなく、海外展開を急速に進めている。2026年2月に発表した米住宅大手トライ・ポイント・ホームズ(TPH)の買収によって、全米第6位となった。木造ビルでも実績を重ねており、25年2月に英ロンドンで建設した木造6階建てのオフィスビルなどの事例がある。
さらに、木質バイオマス発電では、出力約50メガワットの紋別バイオマス発電所(北海道紋別市)をはじめ国内7カ所の運営に参画している。国内トップクラスの合計約260メガワットの発電規模を誇る。森林経営から木質バイオマス発電までのバリューチェーンをグループで完結させられる、他に例を見ない企業だ。
自然資本の財務価値を明らかに
グループの森林アセットマネジメント会社である米イーストウッド・フォレスツは、23年に森林ファンドの「Eastwood Climate Smar tForestry Fund I」を組成した。日本企業10社が参画し、約600億円の資産を15年間運用する計画だ。適切な森林管理を通じて年平均約100万トンのCO2を吸収し、質の高いカーボンクレジットの創出・還元を目指している。
さらに、自然資本としての森林の価値を財務価値につなげる取り組みにも着手している。まずは、炭素市場で既に取引されているカーボンクレジットを通して財務的な価値を明らかにする計画だが、それだけにとどまらない。生物多様性や水資源の保全といった森林の公益的価値を定量的に評価し、投資の対象にすることを次のテーマに掲げる。森林の保有や管理がコストではなく、将来の価値を生む投資であることを市場に示す。国内外の林業会社・アセットマネジメント会社と連携し、グローバルに情報発信していく。
木を軸にしたバリューチェーン 「WOOD CYCLE」による事業展開