地圏環境テクノロジー
地表と地下の水循環を全球で可視化
地形や雨量の情報から計算した「水循環」が見られる無償サービスの全球版を開発した。
資源にも災害要因にもなる水の流れを詳細に把握する技術で企業を支援していく。
陸域の水循環のシミュレーションを手掛ける地圏環境テクノロジー(東京・千代田)は2026年7月、「3次元全球水循環モデル」を同社のWebサイト上で公開した。地表や地下を流れる水の経路や地下水の
「水循環モデル Webmap」と呼ぶ無償サービスの一環として提供する。日本全国の水の循環を500mの格子で見られる「3次元国土水循環モデル」に続く第2のモデルとして開発した。地形や雨量に関するオープンデータを活用し、地圏環境テクノロジーが独自に大規模なシミュレーションを実行した結果を、誰でも地図を動かしながら確認できる。
「企業が海外に工場などを設けるときの参考にしてもらいたい」と同社執行役員で技術営業推進部長の青木純一氏は話す。工場やデータセンターなどの拠点を設置する場合、水の利用が持続可能なことを示せなければ建設の認可が下りないケースが海外でも増えているという。「そもそも水が豊富な地域なのかどうかという全体像をWebmapで把握できる。立地の詳細な水循環については個別のシミュレーションで対応する」(青木氏)
地下水量や水リスクの把握に活用
地圏環境テクノロジーは東京大学で開発された水循環シミュレーション技術「GETFLOWS」を活用する企業として2000年に創業した。GETFLOWSは、地球の固体の層である「地圏」の構造と平均雨量などの情報を基に、降雨・浸透・地下水流動・湧水・河川流出といった陸域における水循環の過程を解析できる。このシミュレーション技術を核にして、水資源に関するコンサルティングやソフトウエアを提供している。
GETFLOWSを利用した実績の1つが、サントリーホールディングスの「天然水の森」における地下水の流れのシミュレーションだ。サントリーや大学と協力しながら、独自に測量した地形データや、地質や河川流量、地下水位などの現地データをモデルに組み込んで、地下水の量や流れを精緻に把握できるようにした。
26年7月にMS&ADインターリスク総研が提供を始めた「流域リスクレンズ」も、地圏環境テクノロジーのシミュレーション技術を活用している。企業の拠点における取水や排水事故の周辺環境への影響を、流域の水循環情報を踏まえた「水リスク」として可視化する。
資源として利用することも、浸水などの災害の原因になることもある水は、多くの企業にとって身近で、切り離せない存在だ。その水が地表や地下をどのように流れ、降雨状況によってそれがどう変わるのかを把握することが、自然との関係を考える上で欠かせなくなっている。
(出所:地圏環境テクノロジー)