八千代エンジニヤリング
地域の活動に人と資金を循環させる
官公庁や企業の水リスク対策のコンサルティングで多くの実績を持つ。
地域での活動を持続させるため、人と資金が循環する仕組みの導入へ。
八千代エンジニヤリング(東京都台東区)は、国や自治体などの官公庁向けの調査・計画・設計・維持管理業務を中心に着実に事業を拡大してきた総合建設コンサルタントだ。
特に河川やダムなどの水に関する領域で国内トップクラスの実績があり、地下水の流動解析や水源涵かんよう養量の評価、 水リスク評価などの高い技術力を持つ。
最近では、水リスクへの関心の高まりを受けて民間企業向けの案件が増加している。支援の領域も水にとどまらず、自然資本や生物多様性へと広がり、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に沿った情報開示の支援も担っている。さらに、流域を一つの単位として捉え、地域の自然が生み出す価値や企業が受ける恩恵を定量的に「見える化」する取り組みに力を入れている。
ファンドで投資を呼び込む
同社が現在、力を入れているのが、「地域」での活動だ。富山県の黒部川流域で進められている「黒部川流域ネイチャーポジティブ・プロジェクト」や三重県尾鷲市の「尾鷲ネイチャーポジティブコンソーシアム」など全国4カ所の活動に参画している。
中でも滋賀県東近江市では、地域の社会課題解決の取り組みを資金面で支援してきたコミュニティ財団の東近江三方よし基金と連携し、地域の活動により多くの人や資金を循環させる仕組みづくりに2026年6月から取り組んでいる。財務的なリターンだけでなく、社会課題や環境問題の解決を目指すインパクトファンドを設立し、インパクト投資家からの資金を呼び込む構想だ。
具体的には、図のように①地域の今を「見える化」する、②「全体最適化」による変革のシナリオを描く、③実行と「仕組み化」の実現という3つのステップを踏む。ファンドの設立は「仕組み化」の一つの方策といえる。
「地域に根差した活動を地道に続けている団体が全国にあるが、補助金などの資金面の支援は限られるケースが多い。周辺地域全体を一体として捉えるランドスケープアプローチの考え方を取り入れ、活動の全体的な価値を海外の投資家にも分かるように見える化して投資を呼び込み、多くの人が活動に携われるようにすることを目指している。持続的な地域活動に伴走していきたい」と、事業開発本部副本部長の植田大造氏は説明する。
同社の得意分野である水に関する見える化の技術と官公庁事業で培ってきた地域とのつながりを生かしながら、ネイチャーポジティブの実現に向け挑戦を続ける。
八千代エンジニヤリングが掲げる「私たちの役割─3つのSTEP」