農林中央金庫
自然と共生する食農バリューチェーン
農林水産業・地域を支える金融機関として、様々な機能発揮とステークホルダーとの連携で自然と食の好循環を生み出す。自然への依存と影響にかかる分析と対話を通じて、自然と食の課題解決と持続可能性を支える。
農林中央金庫は、ネイチャーポジティブの実現に向けて、「食農バリューチェーン全体の移行」が不可欠と捉えている。農林水産業者の協同組合組織を基盤とする金融機関として、川上の農林水産業はもちろん、加工、流通、小売へ続く川中・川下と一体での移行が必要となる。
経営企画部サステナブル経営班部長代理の荒木泰武氏は「生産現場だけでなく、加工、流通、小売まで続くバリューチェーン全体を捉え、その関係性や連携を意識して取り組む必要があります」と話す。移行を、脱炭素や生物多様性、循環経済にとどまらず、社会や産業、組織がより持続可能な状態へ変わることまで含む概念と位置付け、その方向性を「安定した」「無理・無駄のない」「調和のとれた」の3つで示す。
ポートフォリオ分析では、生活必需品・消費財・素材セクターを高インパクト・高依存の領域として特定した。2025年度の現状把握を踏まえ、26年度は投融資先との対話を進めている。
川上と川中・川下をつなぐ結節点
農林水産業・地域の基盤強化に向けては、鹿児島の漁協と進める「山川の海のゆりかご」などの地域プロジェクトの構築により、持続可能な農林水産業の経営と環境保全の両立を支援する。
ステークホルダー連携に向けては、24年8月にインセッティングコンソーシアムを設立した。生産者所得の向上と食農バリューチェーン全体のカーボンニュートラル、ネイチャーポジティブへの移行を目指し、メンバーは32社に上る(26年6月時点)。畜産などの品目別ワーキンググループを設置し、国内外の議論や実務を踏まえたインセッティングの実装に向けたガイドライン策定等を行っている。
加えて、ネイチャーポジティブに向けたソリューションの調査・研究を共同で行うために、三井住友フィナンシャルグループ、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、日本政策投資銀行、農林中金の4社は23年2月にFinance Alliance forNature Positive Solutions(FANPS)を設立した。連携を通じて、企業と金融機関の自然にかかる対話の促進やネイチャーポジティブにかかる技術等について共同で発信している。
荒木氏は、「食農バリューチェーンの結節点に立つポジションを活かした様々な機能発揮によりネイチャーポジティブをはじめとする持続可能性への移行を支援していきます」と話す。川下からの投資・支援が川上の環境・社会価値を生み、食の安定供給として返る。農林中金が狙うのは、自然再生と事業の持続性を両立させる好循環だ。
農林中央金庫のポジションと食農バリューチェーンの移行