三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)
金融機関が「森」で自然資本経営を実践
神奈川県伊勢原市の豊かな森を自ら取得し、間伐材の活用や生物多様性の保全に取り組む。
自然資本経営の取り組みを金融面から支える準備を続けている。
三井住友銀行(SMBC)は2024年5月に「SMBCの森」を取得した。神奈川県伊勢原市の北西部に位置する約220ヘクタールの森林で、全域が丹沢大山国定公園に含まれる。潤沢な水資源があり、多様な生物種が存在するSMBCの森で、ネイチャーポジティブの効果的な実践に取り組んでいる。
SMBCが森を取得した狙いは複数ある。まず、カーボンクレジットの創出だ。既に「J-クレジット」の申請手続きを進めている。
次に、自然資本に関する取り組みを自ら実践することだ。その経験を投融資先とのコミュニケーションやエンゲージメントに生かす。自然共生サイトの認定を取得済みで、シカ害対策にも取り組みながら「地域生物多様性増進法」の認定を目指している。
森の活用の模索も狙いの1つだ。SMBCの森の間伐材をグループ各社の新店舗の建材に使ったり、本店のオフィスに設置する木製のテーブルに使ったりする例も生まれている。
最後に、環境教育である。「伊勢原自然塾」と銘打ち、地元の小学生に対するプログラムや、顧客の啓発活動などを実施している。社会的価値創造推進部の松岡哲也副部長は「お客さまの行動が少し変わって『サステナブルファイナンスに取り組もう』となってくれたらいいし、そこまでいかなくてもお客さまの取り組みについての議論が深められればいい」と話す。
SMBCの森の取り組みでは「色々な会社との新しい縁」(松岡氏)が生まれた。ヒノキの間伐材の枝葉から抽出したオイルを用いたフレグランスカードをエステーと共同開発したほか、子どもの体験を支援する施設の内装に森の間伐材を使う際にも出会いがあった。「いずれは自然を生かした活動について企業同士をつなげる役割も果たせるかもしれない」と松岡氏は話す。
自然資本経営を支援
SMBCグループは、23年2月にMS&ADインシュアランスグループホールディングス、日本政策投資銀行、農林中央金庫との4社で、企業のネイチャーポジティブに向けた転換を支援する金融機関連合「FANPS(FinanceAlliance for Nature PositiveSolutions)」を設立した。
24年4月にはSMBCが、業界に先駆けて「自然資本経営推進分析融資」の提供を始めた。自然資本経営の取り組みや開示について診断や分析をし、第三者評価とフォローアップと融資をセットにした商品で、資金調達した企業が「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)などの開示の枠組みに沿っている」というお墨付きを得られるようにした。
「企業がネイチャーポジティブに取り組もうとしたときに、金融機関としての準備ができていなくてはならない」と松岡氏は決意を新たにする。SMBCグループはそうした意識の下、SMBCの森で自ら体験しながら準備を続けていく。
(出所:三井住友フィナンシャルグループ)