日本航空
SAFの環境価値でスコープ3削減を支援
重要な脱炭素対策の一つとして、持続可能な航空燃料であるSAFへの移行がある。
SAFによるCO2削減の環境価値を証書化して顧客企業に提供するプログラムで普及を図る。
日本航空(JAL)は、通常は捨ててしまう廃食油や森林
SAFは原材料の生産・収集から、製造、燃焼までのライフサイクルでCO2排出量を従来燃料より約80%削減できる持続可能な航空燃料だ。JALは「2030年度に全燃料搭載量の10%をSAFに置き換える」という目標を掲げている。
今、力を入れているのが24年4月にスタートした「JAL Corporate SAF Program」だ。SAFを活用することによって創出されるCO2削減の環境価値を証書化し、貨物輸送や出張でJALグループ便を利用する法人顧客に提供する。
企業がプログラムに参加する場合、まず顧客企業のCO2排出量をJALが事前に見積もり、提案口数を提示し、条件が合えば契約を結ぶ。契約期間終了後に利用実績からCO2排出量を確認し、第三者機関の認証を受けたCO2削減証書を発行して料金を精算する。
削減証書は、サプライチェーン全体からの温室効果ガス排出量を指す「スコープ3」のうちカテゴリー4(上流の輸送・配送)、同6(従業員の出張)、同9(下流の輸送・配送)の削減に利用できる。契約期間は半期(上期または下期)で、CO2削減量10トンを一口として契約する。
事業活動と連動したCO2削減
一般に、証書(クレジット)を使ってCO2排出量を相殺することを「カーボンオフセット」という。自社の活動とは別の場所で創出された環境価値を購入する。これに対し、JALのプログラムでは、出張などの自社の活動に対して削減することから「カーボンインセット」という。より自社のバリューチェーンの脱炭素に直接貢献するといえるだろう。
図のように様々な業種の法人の参加実績があるが、目を引くのがジャパンラグビーリーグワンに所属している浦安D-Rocksだ。合宿などで選手やスタッフが搭乗したJAL便でのCO2排出量を削減している。浦安D-Rocksは、ファンの家庭から出た廃食油を試合会場で回収するイベントなどを開催しており、SAFの利用拡大に向けた啓発活動に一役買っている。
JALは、家庭から出る廃食油の回収を行う「すてる油で空を飛ぼう」プロジェクトを24年3月に横浜市からスタートした。現在では全国290拠点(26年8月末現在)に広がっている。SAFを利用する上で大きな問題は、供給量が少ないことだ。家庭からの廃食油の回収などの地道な活動を続けながら、国内のステークホルダーと協働して地産地消のSAFの普及・促進に取り組む。
JAL Corporate SAF Programには脱炭素に取り組む法人が多数参加