キリンホールディングス
「協働」でネイチャーポジティブを実現
キリンホールディングスは多様な関係者と共にネイチャーポジティブの事業への実装を進めている。
スリランカでは環境的インパクト評価の共同研究を実施するなど、国内外で取り組みを加速する。
キリンホールディングスは多様なステークホルダーが社会・環境課題などの解決を目指すコレクティブアクション(協働)によって、ネイチャーポジティブの事業への実装を進めている。
代表例が「午後の紅茶」の原料となる茶葉を生産するスリランカでの取り組みだ。現在、日本が輸入する紅茶葉の約4割がスリランカ産で、そのうち約2割が「午後の紅茶」に使われている。紅茶葉の持続可能性が揺らげば事業の存続にも影響が出かねない。
キリングループは2013年に、紅茶農園がレインフォレスト・アライアンス(RA)認証を取得するための支援を開始。22年発行の「キリングループ 環境報告書」では、TNFDが提唱するLEAPアプローチに基づき、スリランカの紅茶農園を含む自然関連情報の開示を世界で初めて試行した。
25年6月からは東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻森川研究室と、ネイチャーポジティブに向けた環境的インパクト評価に関する共同研究を進めている。
対象となるスリランカの紅茶農園での25年9~10月の生態系調査では、ドローンを使った3Dマッピング技術と現地調査を統合した手法を採用。絶滅危惧種とされていた2種の動植物、危急種とされていた3種の動植物、準絶滅危惧種とされていた3種の動植物の生息を確認した。また農園の景観を構成する要素の1つである河畔が、周囲に比べて水分を保持しやすいことも明らかにした。
この調査の成果は、世界資源研究所(WRI)などが設立したネイチャーポジティブ・イニシアチブ(NPI)が主導する「自然の状態」(SON)を測る生態系指標の国際的な標準化に向けたパイロットテストに活用される。
スリランカでネイチャースクール
さらに、紅茶農園でのネイチャーポジティブ実現に向けた取り組みの1つとして、25年11月に農園の従業員の子どもたちが通う小中学校を対象に、自然との共生をテーマとした授業を行う「キリン ネイチャースクールinスリランカ」を開始した。キリンホールディングスCSV戦略部の美鳥佳介氏は「ネイチャーポジティブに継続的に貢献していくためには、現地の若者に生物多様性の重要性などを知ってもらうことが大事になってきます」と話す。
日本国内では26年3月に、グループ会社であるメルシャンの「シャトー・メルシャン 天狗沢ヴィンヤード(山梨県)」が環境省による自然共生サイトの認定を受けた。自然の恩恵を受けて事業活動を行っているキリングループは、これからも自然と人に「ポジティブインパクト」を与える取り組みを積極的に進めていく。
バリューチェーン全体でネイチャーポジティブの実現へ