
――企業へのAI導入が目覚ましいスピードで進んでいます。今後は、どのように進展していくのでしょうか。
シリッシュAIエージェントが浸透し、あらゆる領域で働き方が変わるでしょう。AIエージェントが様々なタスクを人と共存しながらこなすようになり、それを支えるデータ基盤もヒューマンスケールからエージェントスケールへと急速に拡大します。
人間の役割も、より高度な思考と意思決定が求められるようになります。不確実性が高まる中、現状を正確に把握して物事に取り組む必要があります。そのため、ただ作業を受動的にこなす姿勢から、先を予測して判断するプロアクティブ(主体的)な思考へのシフトが不可欠です。
これを実現するのが、社内データを参照して知識化するAIエージェントです。しかし、企業の保有データの90%は未活用の非構造化データと言われています。AIエージェントがこのデータを組織的な知識へと昇華できるよう、これまで以上にデータ品質を高め、基盤を整備しておく必要があります。
――AIエージェントによる変革を促し、その利用環境を企業に浸透させていくには、どんな点に注意すべきでしょうか。
シリッシュAIエージェントが人に代わり業務を遂行するうえで、ポイントは「全社的なデータ基盤の整備」「的確な結果を導くコンテキスト(文脈)の付与」「コスト最適化」の3つです。
一部のデータだけでは業務全体を最適化できません。的確な結果を出すには、全社のデータを利用できる環境が必要です。さらに、タスクを正しく実行させるコンテキストと優れた設計が不可欠です。
同時に、利用コスト(トークン数)の最適化も重要です。費用を膨張させないためにも、AIエージェントに最適なボリュームのコンテキストを与える配慮が求められます。

――データ基盤の整備は、どこから着手すればいいのでしょうか。
シリッシュ重要なのは「単にデータにアクセスできる」というだけでは不十分だということです。私たちはこれまでも、データがどこにあってもアクセスできるツールを提供してきましたが、AIエージェントにデータを活用させるにはデータ間の関係性や意味付けも含めて理解させなければなりません。
そのため年初から既存のプロダクトを進化させる形で、Trusted Context(一部の製品はKnowledge Catalog)、Intent-driven Outcomes(Google Cloud Data Agent Kitなど)のCapabilityを拡張して提供しています。前者はAIエージェントにより詳細なコンテキストを伝えて判断に必要なインテリジェンスを与えるものであり、後者はAIエージェントにより勝手な推測(ハルシネーション)のリスクを排除し、意図通りの結果を導く枠組みとなります。
――AIエージェントに最適なコンテキストを与えるにはどうしたらいいのでしょうか。
シリッシュデータ管理の仕組みとAIモデルを統合的に扱えるようにすることです。
複数のプロバイダーのインフラやAIモデルを単につなぎ合わせるだけでは、データが断片化して期待するような結果を出せず、セキュリティー面で課題が生じることも考えられます。
対して私たちが提供するGoogle Agentic Data Cloudは、インフラからモデルまで垂直統合されたデータクラウドです。コンテキストレイヤーも内包しているため、コストも抑制できます。
そのうえで、最適なコンテキストをAIエージェントに渡すためには「アグリゲーション」「エンリッチメント」、そして「検索」という3要素が不可欠です。データを集約して関係性を整理し、AIで分析してデータの品質を高め、Google独自の検索技術を駆使してコンテキストを抽出していきます。
その過程では、人が介在する「ヒューマン・イン・ザ・ループ」によりデータを充実させることも可能です。例えば、業界専門用語の意味を人がAIに教えることで、コンテキストの正確性を高めた事例もあります。
――プロアクティブにAIエージェントを業務に活用するためには、データ環境以外に何を変える必要があるのでしょうか。
シリッシュ一番大切なのは、人が「AIエージェントを信頼して企業活動を任せられる状態」をつくることです。そのためには、Knowledge Catalogで組織のナレッジを自律的に学習する処理を定義し、システム基盤からデータウェアハウスへ直接アクセスできる連携環境を整える必要があります。同時に、従業員のマインドセット転換と、行動変容を促すための実践的なトレーニングも欠かせません。無人の自動運転車に不安を覚えるように、新しい技術には心理的な障壁が存在します。これを払拭するには、まずリスクの低い領域でプロアクティブにAIエージェントを試し、成果を確認しながら適用範囲を広げていくのがよいでしょう。
新しいテクノロジーは常に抵抗感を持たれながらも古いやり方を変えてきました。AIエージェントで成果を上げるのも同じです。意図通りの結果を出すには、チームや個人のスキルアップが必要です。例えば、Pythonでの予測モデル構築の多くは、今やAIに置き換わっています。その事実を受け入れることが大切です。
日本の通信業界や自治体などでもAIの大々的な活用が始まっています。重要なのは、取り組む意思を固め、段階的に展開していくことです。
――今後はどのように製品開発に取り組んでいくのでしょうか。
シリッシュ私たちは完全にオープンな製品で、お客様の次の変革を支援していきます。データとAIエージェントは、一人ひとりの役割をより大きなものにしていくものです。明るい未来に向けて、今とてもワクワクしています。

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データ アナリティクス プロダクト マネジメント担当
バイス プレジデント
シリッシュ・チャンドラセカラン(Sirish Chandrasekaran)氏
データアナリティクス担当プロダクト マネジメント部門のバイスプレジデントを務める。Google入社以前は、AWSやDropbox などの大手テクノロジー企業で数々のリーダーシップポジションを歴任。インド工科大学マドラス校にて学士号を取得。
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