提供:Google 協力:日経BP 総合研究所

THE NEXT X 変革の扉

テクノロジーによる社会の未来への貢献を目指すグーグル。
「AI の力で解き放とう、日本の可能性」というビジョンに基づく日本における取り組みを紹介する

Google Cloud アニール・ナガラ氏
Google Cloud アニール・ナガラ氏
Vol.45

「カスタマーゼロ」の成果を顧客に還元
AIファーストでビジネス価値を創出

Google Cloud
アニール・ナガラ 氏
デジタル社会においては、ビジネスの成長に比例してITインフラの負荷も増大する。急成長を続けるGoogle Cloudの基盤となる巨大インフラも例外ではない。その厳しい運用環境を支え続けているのが、同社が貫く「AIファースト」のアプローチだ。自社を「カスタマーゼロ」と位置付けインフラを構築・運用する中で蓄積された知見や成果は、今日の製品・サービス開発や顧客サポートにダイレクトに生かされている。

自らの業務基盤にAIを統合
プロセス変革を実践

アニール・ナガラ氏
Google Cloud
Senior Director, Global Supply Chain Engineering
アニール・ナガラ 氏

――現在の役割と、直面しているインフラの課題について教えてください。

ナガラGoogle Cloudのインフラは、前例のない規模の急拡大に直面しています。そのスケールアップを支えるために、ビジネスプロセスを改善し、システム機能を強化していくのが私の役割です。インフラやツールに多くのレガシーシステムが残る中で、未来に向けた技術基盤を再構築していくことが急務になっています。

――具体的にどのような取り組みがあったのでしょうか。

ナガラサプライチェーン、財務、調達、人事系のオペレーションを支えるシステム基盤にAIを統合し、ビジネスプロセスのワークフローを再構築しました。従来は、システムのアップグレードというと、技術やツールの入れ替え(いわば単なる“箱”の移動)を伴うものでした。しかし現在は、AIを活用していかにビジネス価値を最大化する(インテリジェンスを動かす)プロセスへと変革できるかが鍵を握ります。 実際にこの取り組みを通じ、私たちは数億ドル規模のビジネスインパクトを生み出しています。

 例えば、グローバルで多数のサプライヤーと契約するGoogle Cloudでは、契約内容に基づく発注・請求の照合や、新規契約時における取引条件の整合性チェックなど、膨大な作業が発生します。こうした複雑な調達プロセスにAIを導入することで、抜け漏れを防ぎ、極めて効率的な管理を実現できます。

 ここで重要なのは、常にビジネス価値の創出を意識できるよう、組織のカルチャーとマインドセットを変革することです。具体的にどれくらいのビジネス価値がもたらされるのかを、技術に紐づけて提示する必要があり、リーダーにも一般社員にも、ビジネスプロセスの深い理解とAIの使いこなしという2つのスキルセットが求められます。

重要なのは組織として
やり遂げるためのガバナンス

アニール・ナガラ氏

――ビジネス価値へ意識を切り替えるためには、何が必要でしょうか。

ナガラまず大切になるのは、組織としての意思決定と、徹底した実践のためのガバナンスです。10年先を見据えた大きな変革であることを現場に伝え、幅広い賛同を得たうえで、その変革を粘り強くやり遂げる体制が必要です。

 システム面では、ビジネスプロセスの変化に素早く対応できるようなアーキテクチャーを採用しておくことも重要です。例えば私たちは、基本的にはSAPなどサードパーティーの業務アプリケーションを活用していますが、カスタマイズしすぎることなく、ネイティブで使うことを心がけています。不足する機能はクラウドのデータセットで補強していくようにしています。

 あらゆるデータをAIで活用するための基盤の整備も欠かせません。業務全体を最適化するために、企業全域のデータを利用できるようにするほか、信頼できる唯一のデータ(ゴールデンコピー)を一元化し、企業全体を360度見渡せる状態を整えることが大切です。弊社では「BigQuery」を核としたデータレイクである「Cortex Framework」を活用し、どの役割のユーザーにもAIネイティブな体験を提供できる体制を整えています。

 基盤を整えたうえで、どのユースケースにAIを適用するかをビジネスインパクトを基準に意思決定していきます。エンドユーザーの立場に合わせていくつものプロトタイプを用意し、実験的な利用を繰り返し効果を見極めて本格的な展開を図っていきました。

 私たちは、こうした「カスタマーゼロ」の取り組みから得られた経験や成果を製品やサービスに反映し、お客様に還元しています。

カスタマーゼロの体験を生かし
岐路に立つ日本企業を支援

――ビジネスプロセスにAIを組み込んでいくにはどのようなアプローチが適切でしょうか。

ナガラ鍵となるのは複数のAIエージェントを複雑なビジネスシナリオに対応させつつ、より高いビジネス価値を生み出していくことです。AI活用のアプローチはビジネスシナリオによって変わってきます。

 既存のビジネスプロセスを変革する場合には、多くの経験を持つユーザーを巻き込み、草の根活動でアイデアを募り、インキュベーションしていくのがいいでしょう。既存プロセスの変革は「飛んでいる飛行機のエンジンを取り替えるようなもの」ですから、現状を深く考慮した構造的なアプローチが必要です。

 一方、新規ビジネスや新規の機能追加のようなグリーンフィールドの場合は、最初からAIファーストで取り組むほうが効率的であり、実践的で即効性もあります。弊社はその両方で成果を上げてきました。

――日本企業の現状をどうみていますか。

ナガラ日本企業は業務オペレーションの正確さにおいて世界的な「ゴールドスタンダード」ですが、同時に今、重要な分岐点に立っていると感じます。これまで実験室の中にあったAIを、オペレーション面で高い優位性を持つ日本企業のビジネスプロセスにどう組み込んでいくのか、という課題に直面しています。

 ただ、日本でもすでに多くの企業が、自社のナレッジや体験をデジタル化し、AIを実際の日々の業務に活用し始めています。そこで不可欠になるのは、長期的な視野で粘り強く取り組むことです。

 私たちは自身の体験を積極的にお客様と共有していきますが、重要なのはお客様がGoogle Cloudに頼りすぎることのないよう、お客様の自立をエンパワーする環境を提供することです。そうすることでビジネスを一番深く理解しているお客様自身が自律的にAIネイティブな組織をつくることができます。その取り組みに寄り添い、伴走支援していくのが私たちの役割だと考えています。

アニール・ナガラ氏

Google Cloud
Senior Director, Global Supply Chain Engineering
アニール・ナガラ(Anil Nagalla)氏

AIネイティブな戦略的イニシアチブを牽引し、Googleのグローバルサプライチェーンソリューションのエンジニアリングを統括。営業、マーケティング、コマース、財務、サプライチェーンの各分野で社内ソリューションや外部向けプロダクトを提供。

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