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JAぎふが狙ったのが、求人サイトへの流入経路として、日本最大級の求人検索エンジン「Indeed(インディード)」を活用することだ。「Indeed」は様々な求人媒体や、企業ホームページの採用情報などを一括して検索・表示する。ここにJAぎふの求人情報を表示させることで、より多くの求職者にリーチできる。
「求人サイトはIndeedの検索アルゴリズムに対応しています。求職者がIndeed上で検索したキーワードがJAぎふの求人情報に関連した場合、Indeedの検索結果にもJAぎふの求人情報が表示されます。実際、Indeed経由で応募されてくる方も非常に多いです」(丹羽氏)
JAぎふの求人サイトを直接知らなくとも、職業への興味さえあれば求職者を呼び込めるのがIndeed連携の強みと言える。
さらにJAぎふでは、求人サイトにダイレクトに呼び込む施策として管内で合計25万部の新聞折り込みチラシを実施。農家向け・求職者向けの研修会も通年で開催し、求人サイトの活用を積極的に呼びかけた。
丹羽氏は、「当初作成したチラシや記事、採用管理システムを含め、リクルートジョブズの採用に関するノウハウを活用できたことで、短期間で立ち上げられました。もし自分たちだけでやろうとしたら、3~5年かかったかもしれません」と話す。
ITのパートナー選び、そして生産者に負担をかけない記事作成サポート体制がプロジェクトを軌道にのせた。 (本文は下に続く)


JAぎふの求人サイトは公開から1年半弱の2019年2月15日現在で、総閲覧数28,820回、総求人登録数総119件、応募数372名、総採用数115名と、手応えをみせている。応募は、平均すると毎日1~2件は寄せられている状況だ。採用者の男女比は男性4に対して女性6と女性がやや多い。男性は、一部の就農希望者を除くと20代前半か定年後が多く、女性の年齢層は40代を中心に幅広い。なお求人はアルバイト・パートが中心となっている。
Indeedの求人検索から来る人も多いため、幅広い層から人材が集まっている。農業に興味がなくても様々な職種を検討する中でJAぎふの求人を知り、「こういう仕事もあるのか」と初めて認識した人も多い。そのうえで、実は家の近所だったり、労働時間がフレキシブルに選べたりといったメリットを感じ、応募する人が少なくない。
応募者について、丹羽氏は次のように語る。「子育て中の主婦の方で、こんな近くに働く場所があると思わなかったという方もいます。一方で、農業で働きたいと正社員になる方もいますし、新規就農を目指し農業を学びたい方など、多彩な人材が集まっている感触があります」
また髙橋氏は「ネットで求人しているので、ITに慣れ親しんだ質の高い人材が獲得できているという印象もあります。実際、とても真剣に働いてもらえると、農家の評価も高いですね。身内だと言いたいことも言えなかったりしますが、農業を労働として捉えている人が応募してくれるので、やりやすいという声も聞きます」と話す。
求人サイトの新たな活用法も見えてきた。就農に興味を持つ人のトライアルである。丹羽氏は就農フェアなどにタブレットを持っていき、求人サイトの説明をするという。
「ビニールハウスを建てると3,000万円くらいのお金がかかりますし、何もない中からいきなり就農するのは難しい。そこで例えば枝豆に興味を持っている人なら、無料職業紹介の枝豆のアルバイトをお勧めして、体験してもらうのです。またアルバイトなら枝豆と花卉を同時に体験もできる。本格的な就農の前に多彩な農業の実態を知ってもらうツールになっています」(丹羽氏)
JAぎふの求人サイトで正社員を採用したのが岐阜市で水稲を50ha、大豆9ha、野菜25aを栽培する農業法人 株式会社森ライスである。従来身近な関係者からの口利きなどで働き手を採用してきたが、業容が拡大する中でさらに人手が欲しいと思っても、なかなか新たな人材を確保できなかった。
そこで、JAぎふの求人サイトを活用。現在6名の正社員のうち、2名を採用した。そのうちの1人が、「以前から自然と触れ合える農業に興味があり、求人サイトの紹介写真がアットホームで気に入りました」という藤塚純氏である。前職は事務だったがIndeedで検索して応募。農業に畜産以外の仕事があると初めて知り、興味を持ったという。社長の森淳一氏はJAぎふの無料職業紹介について、「異業種からも応募があり、農業に意欲的な方が多くて助かります」と評価している。

一方家族経営の農家では、近隣の主婦などをアルバイトとして採用し、家族だけでは足りない作業を手伝ってもらう例が多い。
「トマト農家さんの話ですが、奥様が妊娠され急に人手が必要になったのです。そこでJAぎふの求人サイトで平日短時間働ける人を募集したところ1週間ほどで応募があり、すごく助かったと言っていただけました」(丹羽氏)
家族経営だけに柔軟な働き方が選べるのも好評のようだ。
既にかなりの効果を生んでいるJAぎふの無料職業紹介だが、課題も残る。まず最大の課題は登録求人件数の拡大だ。情報が少ない求人サイトには求職者が集まらないため、その拡大は急務である。そのため、JA職員や組合員への周知を進めている。丹羽氏は、「当初のにんじん部会とえだまめ部会だけだったころから比べると、イチゴや花卉など広がりを見せています。とはいえ、まだ知らない農家もあるし、知ってはいるが様子見というところもあるでしょう。まずは営農担当者を中心に支店に働きかけ、農家への呼びかけやPRを継続的に行い、求人件数を増やす活動を行う必要があると思っています」と語っている。
また、より魅力的な求人サイトとなるよう、JAぎふ管内の農作業カレンダーを提示して季節に合わせて計画的に働けるようにし、就農に興味を持つ人が効率よく学ぶ支援もしたいと考えている。
このような情報発信は、JAぎふ全体としても課題だ。中村氏は、「SNSやLINEを使った情報発信を始めていますが、組合員10万人に対してLINEの登録が現在3,000人と、まだまだこれからです。求人サイトも含め、より多くの方々に情報を広めていくことが重要だと思っているので、しっかり取り組んでいきたい」と語る。
JAぎふでは無料職業紹介自体の需要は高いと感じている。人手が増えることで空いた時間を使い他の作物の生産に取り組めるなど、農家のさらなる所得増大にもつながる可能性がある。また、地域活性化にも効果があると髙橋氏は次のように語る。
「農業を基軸として新たな雇用を生み、賃金として支払われ地域に循環する。さらに、農家にとっても生産量が増えるので、結果的に地域経済に貢献できると思います。無料職業紹介の周知を強化し、より多くの農家にご利用いただき、人材採用につなげてもらいたいですね」

