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2023.02.07
文=茂木俊輔
昼過ぎともなると、大型トラックが次々と構内に入り、出荷バースに停車する。坂本龍馬像で知られる桂浜に近いJA高知県の物流拠点「園芸流通センター」。大型トラックが壁面に沿って横一線にずらりと並ぶ光景は壮観だ。
ターミナルの内部では、パレットに積み上がる青果物等の箱を、ドライバーが手動式のリフターを操作し、荷台に運び入れる。積み下ろしの順番を念頭に置きながら箱を積み込み、新たな山を築き上げていく。箱の大きさは品目によって異なるため、その違いを計算に入れながらムダな隙間を生まないように混載する。

出発は17時から18時半まで。多い時期には最大60台もの大型トラックが、全国各地にある100近くの卸売市場等に向かう。県内各地で生産された青果物や花きなどの園芸作物を、ここからまとめて出荷するのである。

燃料費高騰、2024年問題と物流を取り巻く社会・経済環境は厳しい。それでも、JAグループ高知では県域一元の集出荷販売体制を取ることでトータルメリットを得られているという。JA高知県 営農販売事業本部 流通企画部 課長の武政博三氏はこう胸を張る。
「卸売市場では優位な取引を実現しています。出荷数量をまとめて計画的に出荷できる点が大きく効いています」
高知県の農産物と言えば、なす、みょうが、しょうが、にら、きゅうり、ピーマンなど、野菜を中心とする園芸作物である。農業産出額に占める野菜の割合は2020年実績で約64%と多くを占める。主要産品は地域ごとに異なり、多品目が特徴だ。県域一元の集出荷販売体制を取り、生産者の経営安定に寄与するその内実はどんなものであろうか――。
多品目の園芸作物を県内各地の選果場から個別に市場出荷し、販売していくのは効率が悪い。東京や大阪といった大消費地に走る大型トラックをなかなか満載にできないからだ。多品目でも、集出荷販売体制の一元化により数量をまとめることができれば、輸送効率は格段に上がる。
また個別出荷は価格交渉にもマイナスに働く。市況データを基に個別に出荷先を決めていると、どの選果場も市況の良さそうな卸売市場に出荷するため、選果場間で競合関係が生じかねない。そうなると、市場での価格交渉を優位に進めるのは望むべくもない。
園芸作物は天候の影響も受けやすく、工業製品と違って計画生産が難しい。出荷量が消費量を大きく上回ると、大幅な値崩れが心配される。しかし出荷体制を一元化していれば、余剰が生じても各市場にうまく分散させることで、大幅な値崩れを防ぐことが可能になる。

これらの輸送効率や価格交渉といった個別出荷の課題を解決しようと、高知県では古くから県域一元の集出荷販売体制を築いてきた。その役割を担ったのは、高知県園芸農業協同組合連合会(園芸連)だ。高知市内と隣接する南国市内の2カ所にトラックターミナルを置き、県内各地のJAや集出荷業務を担う運送会社と連携しながら、協同販売を進めてきた。2000年4月には、冒頭で紹介した「園芸流通センター」を新設し、トラックターミナルや事務所の機能を移転・集約するのはもとより、集出荷業務を担う運送会社が事務所機能を隣接し、一元集出荷販売体制を確立させたのである。
その園芸連の機能を受け継いだのが、JA高知県である。2019年1月、県域1JA構想の下、県内の12JAと連合会の一部が合併し誕生した組織だ。その時点では合併しなかった3JAや2つの専門農協とともにJAグループ高知として、県域一元の集出荷販売体制を主導する。
この施策を軌道に乗せるには、県域統一の標準規格に基づく選果が欠かせない。生産者が青果物や花きなどの園芸作物を持ち込む選果場は県内約70カ所。そこではJAグループ高知の標準規格を基に選果し、梱包していく。「卸・小売店側からすると、仕入れ日によって収穫産地が異なっても、県内統一の標準規格であることから、同じ高知県産の商品として扱えます」と、武政氏はその強みを説く。