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東経135度の日本標準子午線上、播磨平野の中央部に位置するJA兵庫みらいは、輸出拡大に活路を見出そうとしている。
国内では消費が伸び悩む日本酒だが、輸出額は年々拡大。2013年の105億円から2020年には241億円に伸び、7年間で約2.3倍と急成長している(下図)。フランスでは、フランス人によるフランス人のための日本酒コンクール「Kura Master」も開催されており、海外での日本酒の人気は高まる一方だ。
日本政府も輸出拡大に向け、2020年、輸出用日本酒向け酒米生産者への支援策が決定した。これを受けJA兵庫みらいは、輸出用日本酒を醸造する酒蔵に対し、支援をすることを決定した。酒米は酒蔵の手によって日本酒に加工され、輸出されるため、輸出拡大に酒蔵の協力が不可欠だ。海外需要拡大に向け輸出に取り組む酒蔵を支援するために決断した。JA兵庫みらい 営農経済部 部長 長尾幸雄氏は、「生産者にとっては交付金があるが販売価格は下がります。また、契約通りの数量を確実に出荷してもらう必要もあり、説明し納得してもらうための時間はかかりました」と語る。
2020年は、輸出用の“グレードアップ 兵庫県産 山田錦”をJA兵庫みらい管内で1,240俵、全県では3,700俵を出荷。2021年は全県で12,000俵まで増えた。JA兵庫みらい 営農経済部 販売施設課 課長 増田武久氏は、「輸出用米の委託生産者がまだ少ないため、現在は特定の酒蔵を中心に取り組んでいます。生産者がいなければできないので一足飛びにはできませんが、徐々に拡大していきたい」と語る。

酒米は事前に酒蔵と納品数量を契約して販売するため、酒蔵とのつながりは深い。生産者と一緒に田植えや収穫作業をする酒蔵もあるし、JAから酒蔵に出向き、昨年の山田錦の評価を聞き、その結果を翌年の生産に反映するといった活動も続けている。
全国の酒蔵の、“グレードアップ 兵庫県産 山田錦”に対する評価は高い。JA兵庫みらい 常務理事 横山尚平氏は、「山田錦は高精白することができ、発酵のすすみやすさで評価いただいています。ただ、年によって米の状態は違うので、水分量などの傾向や生育状況を教えてほしいと要望いただきます」と語る。そこで、定期的な生育状況の報告や現地視察の実施、納品時に県の試験場で調べた水分調整用のデータを添付するなどの工夫を施している。酒蔵との緊密な協力体制が、酒米、日本酒双方のさらなる品質向上につながっている。

JAグループ兵庫(JA全農兵庫、JAみのり、JA兵庫みらい、JA兵庫六甲)では、JA全農兵庫が中心となり全国の酒蔵にアンケート調査を実施。“グレードアップ 兵庫県産 山田錦”に対する評価や要望、輸出の取り組みなどを聞いた。1160社に対して送付したところ、502社から回答があり、関心の高さをうかがわせる。すべての集計はこれからだが、速報値として次のような数字が上がった。375社が輸出を行っており、そのうち166社が“グレードアップ 兵庫県産 山田錦”を使用。309社が輸出拡大を目指す、との回答があった。兵庫県産山田錦で作られたおいしい日本酒を世界へ。意欲の高い酒蔵に対し、JAグループ兵庫全体で協力していく考えだ。
“グレードアップ 兵庫県産 山田錦”に対する評価は総じて高い。一方で酒蔵は、胴割れ(※)のない米を求めていることが分かった。そこで対策をまとめたチラシを作成し、生産者に配付。胴割れ対策を徹底するよう協力を仰いでいる。
今後アンケート結果を精査し、酒蔵の要望を詳細に分析していく。そのレポートを元にグループ全体でさらなる品質向上・需要拡大の取り組みを進める。
“グレードアップ 兵庫県産 山田錦”を旗印に、生産者、酒蔵、飲食店、JA、行政が同じ目線と情熱を持ち、切磋琢磨し、進化し続ける。強いブランドはこうして守られ、日本酒文化を支えているのが分かった。今夜は、兵庫県産の山田錦で造られた日本酒を片手に、心地よく酔ってみようではないか。
