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そぐり・計量結束センターが本格的に稼働し始めたのが今年(2017年)の5月の連休明けから。センターで日々、そぐりの現場に立つ平野さんは、「まだ立ち上げて間もないので、今はまず利用してもらって軌道に乗せる段階」と言いながらも、すでに「想定していた利用者以上の人が出してくれている」と確かな手応えを感じている。


現状では、地域のニラ出荷量600トン(年間)ほどに対して、そぐり・計量結束センターの処理能力は184トンほど。最小限の規模での立ち上げだが、今、センターに入ってきているニラの量に対してはフル稼働でまかなえるレベルだ。ただ、先々、現状のそぐり手のさらなる減少が進んだりニラの新規就農者が増えたりした時や、今、利用していない生産者が利用するようになってきた暁には、センターの拡大を考えなくてはならないという。
田村さんも、「センターの拡大は、この構想を始めた段階から考えています。今はその基礎となる形を作る時期。おそらくこれをまともにやろうと思うと、今の規模では話にならない。ここの規模が大きくならなければこの地域が太い産地になりません」
始動したばかりで当然のことながら課題は多い。特に、そぐり機を使った作業のノウハウに関しては、これから蓄積していかなくてはならないポイントが山積している。そぐり機を使ったとしても「人によって作業品質はどうしても差が出てくる」(平野さん)。作業品質の平準化や、受け入れるニラの品質基準、機械の効率的な動かし方、作業者の教育やマニュアルの構築など、今後整備すべき点は多岐に渡る。もちろん、そぐり機を使った作業者の確保自体も問題だ。先行したJA高知はたでは、「JA集出荷場での選果員の高齢化も進み確保が厳しくなっている。選果員の確保も含めたさらなるコスト削減を検討中」としている。
今後、そぐり機やそぐりセンターについてのノウハウの構築や課題の解決については、農協が核となって進めていかなければならないだろう。そぐり機を導入した農協間での連携も重要なポイントになるはずだ。平野さんは、「先行したJA高知はたさんには視察や作業研修などでお世話になりました。今もときどき連絡を取り合っています」と語る。JAコスモスでも他の農協からの視察を受け入れ、積極的に情報を開示する考えだ。
そぐり機とそぐりセンターは、地域のニラ生産を徐々に変革し始めている。
新規就農の面で変化は既に現れている。田村さんはこう語る。
「いまも研修生を受け入れていて、来年の3月に就農しますが、その子にも全量をそぐりセンターに持っていく覚悟でやれと言ってます。その子の方もそぐりセンターをあてにしているし、期待も持ってくれている」
さらに、そぐり機や結束機を自ら導入して意欲的にニラ生産に取り組む気鋭の生産者も出てきた。就農4年目の政光錫明さんと秋奈さん夫妻がそうだ。パートや外国人技能実習生の手を借りて、そぐり機を使ったそぐり作業をこなし、効率的にニラの生産・出荷を実践している。これまでの手作業中心の後工程とは違う、新しい生産・出荷スタイルと言える。

ここまで見てきたようにJAコスモスは、ニラ産地形成のコアとして機能している。そぐりセンターについては、「出荷後にここまで持ってくれば後は出荷まで農協でやってくれるということを、目に見える形で示せたことが大きい」と平野さんは語る。
今後は、自前のそぐり機と農協のそぐりセンターを状況や規模によって使い分けるようなスタイルがこの地域におけるニラ生産の姿になりそうだ。生産者にとって打つ手は多いにこしたことがない。もちろん自分のそぐり機を持つ生産者にとっても、JA内にそぐり機を使った作業ノウハウが蓄積されていくことの意味は大きい。いざ問題が起こったときに、農協内にノウハウがたまっていれば、個人の生産者としても安心できる。こうした農業生産に関する基本機能の整備とノウハウの構築という意味では、「農協は地域における学校のようなもの、なくてはならない基本インフラ」(曽我部長)と言える。
さらに、ニラ生産に関して言えば、そぐり手の高齢化に伴う人手不足の問題は、JAコスモス管内だけの問題でもなく、高知県だけの問題でもない。「日本のニラ産地すべてに関わる大きな問題」(平野さん)だ。JAコスモスやJA高知はたのような単位農協がそれぞれの基盤の整備を行いながら、連携して情報やノウハウが共有されていくことによって、日本全体のニラ生産者が恩恵を受ける。ニラ生産に限らず、日本の農業再生のためのヒントがこの事例の中には含まれている。