無限の市場に、安心の国産レモンで乗りだせ!

レモンの強みを生かし未来を拓くJA広島ゆたかの取り組み

さまざまな加工品が生まれ大手企業との提携も実現

 そして周年販売体制の確立と並行してJA広島ゆたかが積極的に取り組んできたのが6次化戦略だ。地元企業や周辺企業とタイアップしながら、アイデア豊かな商品を展開。「大長レモン」の名を冠したはちみつレモンやレモンぽん酢、ピール菓子などを開発し、鉄道駅や空港、道の駅など、多様なチャネルで販売、知名度アップと生産者の収益拡大の一翼を担ってきた。

 「たとえばこの『はちみつレモン』は、加藤美蜂園という企業の方から打診があり、商品化したものです。ブランドが浸透したおかげで、企業とのコラボレーションも活発になり、バラエティ豊かな商品群がそろいました。JA広島ゆたかが商品化に関わっていないものも含めると、『広島レモン』を掲げた商品は調味料から化粧水まで実に多彩。こうした6次化の充実も全国的な認知拡大に貢献していると思います」

 大手企業からの指名、引き合いも増えていく。2016年4月には、名古屋に本社を置くポッカサッポロフード&ビバレッジが呉市、上島町との業務提携を発表。飲科水や菓子向けの果汁やピールの供給、加工用品種の開発など包括的な協力体制が築かれた。

 「企業によるさまざまな消費宣伝やレモンの機能性の研究など、JAではできない部分を上手く利用させてもらいながら、それができるだけ地域の活性化につながるようにしたい」と山根氏は話す。

JA広島ゆたかが企業と共同で商品化したはちみつレモン。きっかけは企業からの提案だった
JA広島ゆたかが企業と共同で商品化したはちみつレモン。きっかけは企業からの提案だった

生産者にとって魅力的なレモンの作物的メリット

 周年販売体制を確立した「大長レモン」の平均単価は好調に推移している。2012年に285円だったキロ当たりの市場価格は上昇を続け、2016年には400円に達した。一方でみかんの市場価格を見てみると、2012年は247円、直近の2017年でも267円とほぼ横ばいが続いており、「高収益のレモンで生産者の所得向上、地域経済活性化に貢献する」というJA広島ゆたかの狙いは的を射ていたと言える。

 こうした大長レモンの躍進は生産者の所得向上にもつながっている。デコポンやハッサクなどを併行耕作しながら、耕作面積の約3分の1をレモンに作物転換した国実久二(くにざね・ひさじ)氏は、レモン栽培の魅力を以下のように語る。

呉市豊町でレモンを作ってきた国実久二氏。生産者にとっての魅力を語る
呉市豊町でレモンを作ってきた国実久二氏。生産者にとっての魅力を語る

 「まずレモンならではの単価の高さがあげられます。さらに、10月から翌年4月までの7ヶ月間、1本の木から次々と収穫し続けることができますので、高齢者にとっても作業が楽だ、という点も魅力です。みかん科の低木なので、柑橘農家ならば育成技術や大切な勘どころを心得ており、生産転換もそう難しくはありません」

 レモンの場合、生食用と加工用に回る規格外の歩留まり比率は平均で7:3程度。加工需要も大きいので、他の柑橘類に比べて規格外品の単価が3倍から4倍も高いのも魅力だ。

 「レモンの幹には棘があるので、作業中のケガに気をつけるのと同時に、風などで実が触れてダメージを受けないように注意が必要です。しかし、手をかければかけただけ見返りも大きい。そんなやりがいのある作物だと思います。中には5反を耕作して歩留まり比率94%という驚異的な数字を実現して、レモンだけで年間500万円を売上げている篤農家もいるんですよ」と国実氏は顔をほころばせる。

後継者を育成し地方創生の未来へつなげていく

 消費者のヘルシー指向の高まりの中で、輸入レモンは緩やかに減少を続けており、あらかじめピールを取り除いた果汁形態での輸入へとシフトする傾向にある。輸入が減っていく分、国産供給比率を上げていくチャンスが広がっていくことになる。広島県全体におけるレモンの生産額も2010年の8.6億円が2015年には19.1億円に達するなど大きく伸長した。ここにおいて、さらなる増産の鍵を握るのは後継者の育成だ。

 「10年程前の『食えない時代』を経て、ようやくレモンが『生計を立てるに足る作物』になってきました。今、30代を中心とした若い世代のUターンが始まっています。ここ5年の間に、10名の農家のご子息が帰ってきました。若い世代が増えることによって賑わいが生まれ、それが地域の活性化につながっていくはずです」と山根氏は期待する。

 10人のUターン組のうち半数は、次代の農業者を目指す者に対して農林水産省が就農前の研修や就農直後の経営確立を支援する「農業次世代人材投資資金(旧・青年就農給付金)」を受け、親世代から独立して新たなレモン畑で耕作を開始している。こうした助成の適用や耕作地確保の交渉などもJA広島ゆたかでは積極的にサポートしている。

 「増産に伴って、耕作地の確保も進めなければなりません。平坦地はすでに飽和状態となっており、今後さらに山の上に向かって段畑の開拓を進めていく必要があるだろうと考えています。しかし、傾斜地でもレモンの生産に向かない場所もあったり、高齢の方の作業が難しくなるなど、まだまだ課題があります」

 JA広島ゆたかでは、人材育成と耕作地拡大を両輪に増産を加速し、現状年間1,000~1,500トンの生産量を、なるべく早い時期に3,500トンにまで拡大することを目標としている。

 「年間3,500トンというのは相当に高いハードルです。JAあづみの低温貯蔵庫も300トンの容量がありますが、販売が好調で貯蔵に回せる量が足りず、最大でも100トン前後しか活用していないのが現状です。増産を進めて300トンをフルで埋め、大きな夏需要をつかみながら、目標達成に向けた取り組みを続けていきます」(山根氏)

 人を呼び、企業を呼ぶ「大長レモン」。今、地方創生の明かりが灯り始めている。

広大なレモン畑を背景に。JA広島ゆたかでは、これからも生産者と二人三脚でレモンの増産に取り組んでいく
広大なレモン畑を背景に。JA広島ゆたかでは、これからも生産者と二人三脚でレモンの増産に取り組んでいく
JA広島ゆたかの取り組み