農業生産と市場流通のギャップ解消に挑む!

JAさが青果物コントロールセンター

運べなくなるリスクが、全国を震撼させた。物流の2024年問題である。産業界は今、物流をボトルネックにしないよう躍起になる。農業も例外ではない。とりわけ野菜や果物は、出荷量の変動が大きく、運送会社から敬遠されがちだ。生産者と消費地を確実に結び付けながらも、上昇基調にある物流コストを抑え、生産者の所得向上を図るにはどうするか。佐賀市内に本所を置くJAさがの出した答えが、青果物コントロールセンターである。

 佐賀市の郊外に立地するJAさが生産資材部物流センターの一角に、青果物コントロールセンターのストックポイントがある。管内に散らばる大小60ほどの集出荷施設から野菜や果物を集荷し、方面別にまとめた上で、市場に出荷する。

 一部の品目は納品先や数量を青果物コントロールセンターの物流担当者が差配する。独自開発の物流システム上で集出荷施設の販売担当者の意向を把握しながら、物流業務を委託するグループ企業の全農物流側の事情も考慮する。

JAさが 園芸部青果物コントロールセンター 次長 光野忠相 氏
JAさが 園芸部青果物コントロールセンター 次長 光野忠相 氏

 使命は、野菜や果物の確実な供給。青果物コントロールセンター次長の光野忠相氏は「物流を途切れさせるわけにはいきません」と強調する。

 青果物コントロールセンターの設置は2018年4月。それまでは出荷業務を集出荷施設単位で実施していた。生産者が施設に持ち込んだ野菜や果物を販売担当者が市場に出荷。配送業務は地元の物流会社に委託し、計20社に上っていた。

「配送業務を物流会社に断られかねない」

 当時、従来のやり方には綻びが生じつつあった。

 物流会社は複数の集出荷施設を巡り、各種の品目を荷積み。それらを複数の納品先に配送して回った。荷積みや荷降ろしは時間がかかる。待機が発生すれば、所要時間はさらに延びる。「ドライバーの労働時間超過が常態化。集荷時間の短縮や荷降ろし件数の削減を求められていたほどです」(光野氏)

 折しも、国は長時間労働の是正に向け働き方改革関連法案の準備を進めていた。同法案は、時間外労働の上限を原則月45時間・年360時間に規制するものだ。自動車運転業務は、法施行5年後まで猶予期間。それ以降は規制が適用される。

 時間外労働の上限規制が適用されれば、ドライバーの稼働時間は減る。人手不足の業界だけに、運べなくなるリスクが高まる。猶予期間が終わり、リスクが顕在化する「2024年」を冠し、2024年問題と呼ばれた。

 このままでは納品先への配送業務を物流会社に断られかねない――。こうした危機感を背景に、青果物コントロールセンターを設置したのである。

青果物コントロールセンターを置くJAさが生産資材部物流センターの外観
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青果物コントロールセンターを置くJAさが生産資材部物流センターの外観
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青果物コントロールセンターを置くJAさが生産資材部物流センターの外観

 立ち上げメンバーは、集出荷施設から配置転換された販売担当者8人。「どのような品目がどの程度生産され、それらがどの市場にどの程度出荷されているか。生産と販売の実情を把握する担当者が集められました」と光野氏は振り返る。

 併せて開設したのが、ストックポイントである。施設内の温度を5℃・15℃に保つ冷蔵保管施設として整備することで、出荷調整にも乗り出せる。例えば、物流会社側の事情で集荷日に出荷し切れなくても、ここで鮮度を保つことで、積み残し分の出荷を翌日に持ち越せる。

青果物コントロールセンターの冷蔵保管施設。ここをストックポイントとして生産物を運び入れ、出荷日まで温度を保ち貯蔵しておく
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青果物コントロールセンターの冷蔵保管施設。ここをストックポイントとして生産物を運び入れ、出荷日まで温度を保ち貯蔵しておく
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青果物コントロールセンターの冷蔵保管施設。ここをストックポイントとして生産物を運び入れ、出荷日まで温度を保ち貯蔵しておく

 青果物コントロールセンターではまず、販売の一元化を進めた。出荷する品目の納品先や数量を、集出荷施設単位ではなくJAさが全体として決める。出荷量がまとまれば、商談を有利に進められる。またスケールメリットが見込まれるため、利益率の向上も期待できる。販売力の強化につながる取り組みだ。

 こうした一元販売に取り組む品目は現在、キュウリ、イチゴ、ナスの3つだ。キュウリとイチゴは、出荷数量が管内で生産される野菜の中で突出。佐賀県の2023年度実績では、トップのタマネギに次ぐ2位と3位の座にある。

出荷を待つキュウリとイチゴ。佐賀県ではハウス栽培により一年中安定してキュウリを供給している。「いちごさん」は2018年に登場した新ブランドだ
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出荷を待つキュウリとイチゴ。佐賀県ではハウス栽培により一年中安定してキュウリを供給している。「いちごさん」は2018年に登場した新ブランドだ
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出荷を待つキュウリとイチゴ。佐賀県ではハウス栽培により一年中安定してキュウリを供給している。「いちごさん」は2018年に登場した新ブランドだ

 品目数が限られるのは、生産者の合意を得にくいからだ。

 課題の一つは、生産現場との距離感にある。「集出荷施設は青果物コントロールセンターより生産現場に近い。その分、現場の実情を把握できる。生産量が限られる品目ほどこうした傾向は強く、一元化には踏み切れていません」(光野氏)