「ふるさと納税」大競争時代に活路!

~自治体に伴走し4年で約76%成長したスゴイ仕組み JAみなみ信州

応援したい自治体に寄附をし、返礼品が手に入る「ふるさと納税」は定着しつつある。自治体目線に立つと、産地のアピールや地域のブランディングに絶好の機会だが、近年競争も激化している。群雄割拠のなか、4年で約76%もの出荷数増を記録し(ふるさと納税以外も含む)、注目を浴びるのがJAみなみ信州の活動だ。背景には、コールセンターの設立、物流改革、精度の高い企画開発など、様々な改革があった。自治体と伴走しながら結果を出し続ける、JAみなみ信州の挑戦を追った。

4年で約76%の急成長!

 今回取材班は、ふるさと納税の取り組みに注目した。ふるさと納税といえば、今や自治体にとって、財源や地域振興の重要な柱だ。日本全国1,786もの地方団体が、返礼品を通して地域の魅力を伝えるべく、しのぎを削っている(2020年9月24日時点)。

 競争が激化するふるさと納税において、成長を続けるのが長野県飯田市を中心とする南信州だ。このエリアで、ふるさと納税返礼品の企画から発送までを行う一組織としてJAみなみ信州がある。JAみなみ信州管内は、長野県南部に位置し、飯田市を中心とする1市3町10村で構成される。桃、梨、リンゴなど果実栽培が盛んで、売上高の約半分を占める。これら果実を中心に多くの産品がふるさと納税の返礼品として地元自治体に採用されている。

蜜入りセンサーで選別されたサンふじや、皮ごと食べられるシャインマスカットはふるさと納税返礼品で人気の品だ
蜜入りセンサーで選別されたサンふじや、皮ごと食べられるシャインマスカットはふるさと納税返礼品で人気の品だ

 JAみなみ信州がふるさと納税を含めたダイレクトメール(以下、DM)対策に本格的に取り組み始めたのが2016年度。当初46,780点だった出荷点数は、年を追うごとに急成長。2020年度には82,108点と、実に76%の伸びを実現した。この成功を支えたのが、農産物総合DMセンター(以下、DMセンター)だ。

 DMセンターは、受注・配送業務のコスト削減と消費者の信頼獲得を目的として、2015年に設立された。それまでJAの直売所や選果場が個別に行っていたDMによる注文販売をDMセンターに一元化。効率的な運営とスケールメリットを活かした販売体制を整え、ふるさと納税においては、商品企画から発送までを行う。このDMセンターが、自治体の「頼れる伴走者」となり、ふるさと納税における飛躍の一端を担うこととなる。

消費者・生産者への思いから生まれたDMセンター

JAみなみ信州 営農部 販売課 農産物総合DMセンター 所長 内山清彦 氏
JAみなみ信州 営農部 販売課 農産物総合DMセンター 所長 内山清彦 氏

 JAみなみ信州は、DMセンター設立以前は市場を中心とした大口取引が中心だった。その後、消費者の新鮮で美味しい農畜産物を求める動きもあり、直売所を中心とした直接販売(以下、直販)の割合が徐々に増えた。JAみなみ信州 営農部 販売課 農産物総合DMセンター 所長 内山清彦氏は、「直販を加速させた背景には、消費者と生産者を直接つなぎたいという強い思いがありました。市場に出すとどうしても手数料と時間がかかります。直販なら、消費者に鮮度の良いものを安く提供でき、生産者にはより多くの利益を還元することができます。消費者からダイレクトに声を聞けることも大きかったです」と当時を振り返る。

 当初、直売所・選果場での箱売りギフト販売が直販の中心だったが、伝票作成やデータ入力、発送に手間がかかる。直販が評判を呼び、販売数が増えるにつれ、直売所や選果場での対応が厳しくなった。規模の拡大を目指すには、効率化が鍵となる。こうした背景から、前述の通り、2015年にDMセンターが誕生した。

 DMセンターは、その名の通りDMを扱う拠点だ。ふるさと納税返礼品を中心にギフト商品を扱い、独自に年3回「南信州便り」というDMを発行。通信販売のほか、インターネットで受発注等の商取引を行うEC(イー・コマース)も手掛けている。現在の会員数は、約2万人。DMの発送先は、各直売所が持っていた会員データだ。

 ふるさと納税返礼品は、自治体ごとに何を返礼品に採用するかを決める。JAみなみ信州では、DMセンターを中心に管内7自治体に対して企画を提案。採用されれば、自治体を通じて注文が入り、発送から問い合わせ対応までワンストップで提供する。まさにこの支援体制が、ふるさと納税を増やすきっかけとなった。