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話しを先に進めてみよう。選果場に持ち込まれた青果物や花きなどは選果・梱包を経て、先の「園芸流通センター」に集められる。そこからどの卸売市場に出荷するのか――。実はこの時点ですでに行先は決定済みだ。選果場で梱包する際に、出荷先情報が「園芸流通センター」から各選果場に届いている。だから「園芸流通センター」に着荷した青果物等は即センター内で仕分けされ、自動搬送機も活用しながら方面または市場別にまとめられる。
卸売市場での取引はいま、数量や価格を買い手側と個別交渉で決める相対取引が主流であるが、一番の問題は価格交渉だ。そこでは市況データがものを言う。
JA高知県が卸売市場内に構える県外事務所は、そうしたデータの貴重な提供元だ。品目ごとに出荷数量や取引価格を把握し、価格交渉に生かす。市場調査の役目も担う県外事務所はいま、東京、大阪、名古屋、仙台、金沢、広島の6都市に置いている。
JA高知県では出荷前日に各選果場から出荷予想量の情報を把握し、それを基に市場別の出荷数量をはじく。運送会社はその出荷数量を基に最適な配車計画を作成するのである。JA高知県 営農販売事業本部 流通企画部 課長補佐の蓼原昭代氏は「運送会社2社は輸送のプロ集団。積載量の最大化が図れます」と評価する。
一元集出荷販売体制が生産者にもたらすメリットは、取引価格上の優位性だけではない。武政氏は輸送コストの低減という効果も挙げる。「中山間地域のような条件不利地域でも、JAグループ高知としてまとめて集出荷するため、生産者は不利益を被りません」。輸送コストの低減は、生産者の所得向上に直結する。
営農は生産者が集中的に取り組み、物流・販売はJAグループ高知が県全域で一元化する――。こうした役割分担は、生産者の新品目や新品種への挑戦も後押しするという。「新品目や新品種を売り込みたい場合、普段の流通ルートを活用して試供品を卸売市場に配送することが可能です。通常は生産者自ら宅配便を手配しなければなりませんが、その必要がなく、試供品の提供が低コストで可能です」(蓼原氏)。
一元集出荷販売体制とはJAが取り組む販売事業の原点に他ならない。そこで目指すのは、生産者の所得向上。生産者が一つにまとまり、支え合い、助け合うことで「まとまりの力」を生み出し、スケールメリットにつなげる。

高知県はJAグループ高知の存在に見られるように、「まとまりの力」が強い。冬から春にかけて出荷するハウス栽培のなすを「高知なす」と名付け、ブランド化を図っているのもその一例だ。「高知なす」の機能性成分に血圧改善効果が認められたという研究成果を受け、国の機能性表示食品制度に基づく届出に乗り出し、2020年9月に受理された。蓼原氏は将来に期待を寄せる。
「県全域でまとまっているからこそ、JAグループ高知として必要な経費を負担し、機能性表示の実現にこぎつけられました。今後はこの付加価値を取引価格に反映させられるようにしていきたい」と意気込む。
「まとまりの力」は認められるものの、JAグループ高知が一元集出荷販売体制の下で取り扱う量は最近減少傾向であるのも事実だ。武政氏は課題を打ち明ける。「背景には、離農もあれば、JAや専門農協を通さない独自の販売網の広がりもあります。取扱量が減少すれば、その分、スケールメリットを追求しにくくなります。一元集出荷販売体制の意義をいま一度、伝えていきたいと思います」。
一元集出荷販売の精神が園芸連という形で一つの仕組みに発展したのは、1922年の大正期にまでさかのぼる。以来100年以上、その精神は世代交代を重ねながらも地域に根差してきた。生産者がまとまることの意義を改めて地域に浸透させられるか――。
「これから地域を担うのは今の40代です。その世代は、農業経営を20年先まで続けるためにはやはりまとまっていくしかない、と認識し始めています。そうした機運の高まりが見られるだけに、私たちJAも自己改革にこれまで以上に励む必要がある、と気を引き締めています」。期待と自戒の念を、蓼原氏は明かす。
