国産小麦で創る「高崎生パスタ」に注目!

大賞受賞に導いた、JAたかさきの地域戦略

「国消国産+地域振興」の開発目的と食感が評価され大賞を受賞

 生産者が栽培・収穫した小麦はJA全農を経由して製粉会社に至り、製粉された小麦が卸へと渡る。それをJAたかさきが仕入れ、吉田製麺が生パスタにしてレストラン・消費者に届ける。「『高崎生パスタ』は『きぬの波』100%使用のため、商流における製粉段階がポイントです。製粉会社は、小麦をブレンドするなど大ロットで効率的に製粉を行い、生産性向上を図っています。高崎うどんの商品化では『きぬの波』のみの小ロットを受け入れてくれる製粉会社を探すのに大変苦労したと聞いています。『高崎生パスタ』は、高崎うどんと同じ製粉会社を利用することが出来ました」。

 マーケティングの観点で重要なのはターゲットをどこに置くかである。それを「高崎市民です」と西島氏は即答し、説明を加えた。「『高崎生パスタ』の目的は、『国消国産+地域振興』です。高崎市民の間で認知度が高くなり、愛され定着すること。高崎での評判が群馬県へ広がり、全国へと広がっていく。そんな将来像を見据えて地域戦略を進めています」。

高崎市内の飲食店「柳川 美熊野」。群馬県産の食材をふんだんに使った和食が楽しめる「高崎生パスタ」を素材に用いたメニューもその一つ
高崎市内の飲食店「柳川 美熊野」。群馬県産の食材をふんだんに使った和食が楽しめる「高崎生パスタ」を素材に用いたメニューもその一つ
日本料理店「柳川 美熊野」の料理長 荒井一樹 氏
日本料理店「柳川 美熊野」の料理長 荒井一樹 氏

 高崎市民へのアプローチについて西島氏は言及する。「JAたかさきでは、食育と地元農産物への理解を深めてもらうために、市内の小中学校全75校の給食用に高崎産野菜を納めています。高崎うどんも全校の給食でメニュー化されています。給食で使ってもらうと、市民の間で認知度が一気にあがります。『高崎生パスタ』も学校給食でご採用いただくよう提案を行っています。学校の栄養士を対象に、吉田製麺の工場見学も実施。『高崎生パスタ』を給食に取り入れる学校も増えてきました。子供たちが大人になり家庭を持つにつれて、『高崎生パスタ』が定着していくと考えています」。

 地元の新しい名物料理として、「高崎生パスタ」に注目する料理店も多い。市内で日本料理店「柳川 美熊野」を営む荒井一樹氏は、「高崎生パスタ」の魅力について語る。「『きぬの波』の小麦の香りと、もちもちとした食感を生かし、高崎独特のパスタ料理を創作できる点に可能性を感じます。当店では、高崎産野菜と組み合わせて、お箸を使って出汁で食べるパスタを提供しています。高崎産の小麦や野菜を大切に育てている生産者の努力に応えるためにも、美味しい料理をつくり、お客様に喜んでいただきたい。また、『高崎生パスタ』を使ったメニューで、『キングオブパスタ』で優勝したいですね。第3回から出店しているのですが、まだ入賞していません。今年こそと、スタッフと一緒に勝負メニューを考えています」。

ランチで提供される「お出汁生パスタ」。もちもちした「高崎生パスタ」特有の食感を生かしたメニュー
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ランチで提供される「お出汁生パスタ」。もちもちした「高崎生パスタ」特有の食感を生かしたメニュー
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ランチで提供される「お出汁生パスタ」。もちもちした「高崎生パスタ」特有の食感を生かしたメニュー

 西島氏の営業活動は多岐にわたる。「JAたかさきの農産物直売所はもとより、スーパー、土産物屋などに『高崎生パスタ』を置いてもらっています。また、テレビ出演や、新聞社への情報提供、記事の投稿を行っています。さらに、高崎市役所の農政部農林課と連携し、様々なPRを実施しています」。

 西島氏の「『高崎生パスタ』を知ってほしい」というPR活動は大きな成果を生む。2023年、「高崎生パスタ」が第19回日本農業新聞「一村逸品大賞」を受賞したのだ。同賞は、日本農業新聞に掲載された農産加工品の中から選ばれる。地元産小麦の生産振興と消費拡大といった開発目的とともに、パスタとしての食感が評価された。大賞受賞後、反響は大きく新しい取り引きも始まった。群馬県エリアだけでなく、東京都内でも「高崎生パスタ」を使う飲食店が出てきた。

「一村逸品大賞」受賞を紹介する日本農業新聞の紙面。審査委員長やくみつる氏のイラストも添えて額装(左上)。同賞の受賞は商品パッケージやのぼりでもアピールする(左下、右)
「一村逸品大賞」受賞を紹介する日本農業新聞の紙面。審査委員長やくみつる氏のイラストも添えて額装(左上)。同賞の受賞は商品パッケージやのぼりでもアピールする(左下、右)
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 JAたかさきが中心となり、生産者、製麺会社、市民、学校、飲食店、メディア、自治体などによるエコシステムを形成。「高崎生パスタ」を軸とするプラットフォーム上で様々なコラボレーションが生まれていく。「生パスタ発祥の地、高崎」と呼ばれる日もそう遠くないだろう。