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2022.11.28
文=高田慎治
秋には稲穂で黄金色に染まる筑後平野は南西部に位置する三潴町(みづままち)。JAみづま管内では、米、麦、大豆や、いちご、タマネギなどの栽培が盛んだ。また、ハトムギを使ったオリジナル商品の販売にも力を入れる。


JAみづまが農家に寄り添い、相談や指導をきめ細かく実施するには、コミュニケーションのスピードと質の向上が重要だ。その課題について、JAみづま 営農経済部 特産課 課長 永渕晃太郎氏は話す。「農家とのやりとりは、昔ながらの紙が中心です。栽培情報や研修会の告知、各種アンケートなども紙で配布し、回収しています。農薬の使用履歴などを記載する栽培管理日誌も、シーズン終了後に部会員から紙で回収しています。紙でのコミュニケーションは、情報提供やタイムリーな指導の面で課題があります」。
非効率なのは情報の受発信だけにとどまらない。「JAみづまの職員は肥料、農薬、気象などの営農情報を該当する部会員の人数分印刷し、委員宛てに作成した依頼書を添えて封入する作業を行っています。それ以外にも様々な資料があり、部会員への配布は多くの作業工数と印刷コストを要しています。各部会員に手渡す委員の手間や、農家における資料管理の煩雑化も課題です」。
そこで営農効率化に向け、デジタル化、ペーパーレス化を推進するべく、クラウドサービスの導入を検討した。いちご部会のみが導入対象となった理由について、永渕氏は説明する。「ICTを活用した営農効率化では、スマートフォンが必須です。新規購入は農家の負担になります。スマートフォンを持っている農家の割合が8割近く達していたのが、いちご部会でした」と話し、こう続ける。「問題は、扱いに慣れていない部会員も多かったことです」。
クラウドサービスの選定では、情報発信・収集の使いやすさ、営農情報や栽培管理日誌などの電子化、費用を重視。総合的観点から、NTTデータの営農支援プラットフォーム「あい作®」を選択した。今回の導入は、単なる効率化が目的ではないと永渕氏は強調する。「デジタル化し、蓄積したデータを活用して、最終的には農業所得の増大、地域農業の底上げを図ることが狙いです」。


いちご部会に対する導入説明会では、目的や効果を説明し、重要性を伝えたと振り返る。「いちご部会の部会員は比較的若い50代が中心、女性を含む新規就農者も増えています。部会では『とにかくスタートしよう』という結論のもと承認をいただきました」。
いちご部会全体での承認は得たが、部会員からは賛否も含め様々な意見が出たという。「賛成者は年齢層関係なく、スマートフォンに使い慣れていて、ICTに興味のある方。脱サラした就農者は、営農ICT化に理解があります。反対者は、スマートフォンが使いにくいと感じる方ですね。紙を全廃しようという意見もある一方、紙に戻してほしいという意見や、SNSを活用したらどうかといった意見など、様々でした」(永渕氏)。
導入に際して、スマートフォン操作を含む「あい作®」の使い方習得に時間をかけた。「部会員総数60人のいちご部会で、スマートフォンを使いこなせる部会員数は全体の2/3。スマートフォンを持っている部会員は45人いましたが、その半数が一般的な日常利用の方でした。まずは、ベンダー支援のもと部会員を対象に説明会を開催。さらに、各人の習熟度が異なるため、5人~10人のグループに分けて講習会を開きました」。

ベンダーに対しては、いちご部会のニーズに合わせた機能改善の要望を提出。「従来の紙による通知では、読んでいるのかどうかが分かりません。『あい作®』に未読・既読機能を追加してもらうことで、未読の場合には電話で参加の確認を行うなど、きめ細かいフォローが可能になりました。また当初はアンケートの集計結果が開示されていたのですが、これから回答する方に影響を及ぼすことがないよう、管理者のみ閲覧可能としました。さらに、ビニールハウスなど日光が強い場所では、画面の色によって見えづらい傾向があるといった利用者の声も、ベンダーに伝えています」。