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「あい作®」導入には様々な意見があり、スマートフォンの習熟度も異なる。こうした状況下でも、スマートフォンを持つ部会員の8割が利用し、栽培指導などの通知を見てアクションを起こしているという。「部会員本人ではなく、ご家族が入力しているケースもあります。家族で農業を行っている場合、家族それぞれのスマートフォンにアプリをインストールし、情報共有するといった使い方もされています。利用料は部会が負担しており、家族で利用することにも配慮しています」(永渕氏)。
導入効果は顕著に顕れていると永渕氏は話す。「ペーパーレス化により印刷費、郵送費などのコスト削減が図れました。また、JA職員の資料配布やアンケート集計などの作業が効率化し、本来業務に専念できる時間が増えました。JA職員が巡回する際も、事前のアンケート情報により、必要な組合員に充分な時間を割くことが可能になりました。部会員はデジタル化により、栽培管理日誌の手間を大幅に解消できています」。

いちご部会の営農ICT化で今後期待されるのは、部会員同士の情報共有だ。「今は、『あい作®』に関してJAみづまと部会員が1:1の関係で利用しています。部会員は、自分以外の情報を見ることができない設定です。農家の高齢化が進む中、ベテランの知恵やノウハウの継承、新規就農者の支援を行うためには、情報共有が欠かせません。なかでも共有すべき重要な情報が栽培管理情報です。多くの部会員の入力によるデータの積み上げが、収穫量増加、品質向上、病害虫予防に繋がります。今後はデータ活用の推進を検討していきます」。
安全・安心の観点からも、栽培管理日誌のデジタル化は必要だと永渕氏は強調する。「肥料や農薬を多く投与し過ぎた場合はアラームの設定も可能です。化学合成農薬の散布回数と化学肥料の量を、福岡県基準の半分以下で生産する栽培計画認証制度『ふくおかエコ農産物認証制度』の申請に対しても有効か検証して参ります」。
しかし、従来のやり方を変更するのは容易ではないとも話す。「『あい作®』がないと農業ができないかというと、そうではありません。今回の導入は、農家が切望したものではなく、JAみづま側のニーズが強い。栽培管理日誌機能は、農家が主体的に入力しなければならないため、消極的な農家が多いです。栽培管理日誌は農家それぞれが従来から工夫しており、3年分記録できる紙の手帳を利用して過去と比較するなど、使い方も様々です。加えて、データ化によるノウハウ流出を懸念される方もいます。現在は紙と併用で運用していますが、重要性を丁寧に説明し、紙からデジタルへのシフトを推進中です。また新規就農者には、最初から紙ではなく、『あい作®』を紹介しています」。


コミュニケーション基盤としての活用も進めていきたいと永渕氏は抱負を述べる。「JAからの連絡だけでなく、将来的には、JA職員と組合員のコミュニケーションはもとより、組合員の情報発信の場としての活用も考えています。例えば、メッセージを写真付きで送信できるので、“こういう状況なのですが、何か解決する方法はありませんか?”という質問に対し、JA職員だけでなく組合員からも回答を寄せることができるというものです。最終的には地域農業の活性化基盤にまで進化させていきたいと思います」。
JAみづまの営農ICT化はスタートしたばかりだ。いちご部会の成功モデルをベースに、実稼働500人の米農家への展開も模索する。組合員の理解と共感こそ、ICTを活用して地域農業の持続的成長を図る原動力といえそうだ。
