契約栽培の巧者、カルビー・カゴメと協業する!

業務用途の適地を目指す産地経営、JAほこた

企業との交渉窓口をJAで一本化

 契約栽培の生産者とカルビーの“思い”が一致するのは、品質へのこだわりだ。JAほこたでは、農業指導やきめ細かいサポートにより高い品質を保っている。「市場用と加工用では馬鈴薯の品種が異なります。カルビーの契約栽培で使っている品種は、『トヨシロ』『オホーツクチップ』『ぽろしり』の3種です。馬鈴薯は、腐れや病害、日光による緑化などが起きやすいため、私とカルビーの担当者が一緒に農地を巡回し、状況確認、情報共有とともにアドバイスを行っています。生産者にとっては、カルビーからノウハウ提供を受けられることも大きなメリットです」。

肥料の指導から輸送先の折衝に至るまで、企業と連携しながら農産物の品質維持に努める。生産者の生活を守り、モチベーションアップにつなげるための施策に心を砕く
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肥料の指導から輸送先の折衝に至るまで、企業と連携しながら農産物の品質維持に努める。生産者の生活を守り、モチベーションアップにつなげるための施策に心を砕く
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肥料の指導から輸送先の折衝に至るまで、企業と連携しながら農産物の品質維持に努める。生産者の生活を守り、モチベーションアップにつなげるための施策に心を砕く

 カルビーの契約栽培におけるJAほこた担当者の役割について鈴木氏は話す。「種イモ、資材の発注から植え付け後の巡回を通じての指導、荷受け、カルビーの加工工場への配達、金額の精算まで一貫して生産者を支援します。また、肥料成分を水に溶かした液肥商品の試験も行っています。生産者からの肥料や農薬に関する相談への対応、カルビー側の意見や声を生産者に伝えることも大切な役割です」。

取材日に収穫が行われていた『オホーツクチップ』は煮物などには向かない一方、揚げ物や加工原料としては非常に優れた適性を発揮する
取材日に収穫が行われていた『オホーツクチップ』は煮物などには向かない一方、揚げ物や加工原料としては非常に優れた適性を発揮する

 カルビーとの栽培契約では、親の代から継承する生産者が多いと鈴木氏は話す。「安定収入により安心して農業を営めるメリットを体感しているからだと思います。加工用馬鈴薯は、2月に植え付けて6月中旬に出荷。基本的にワンシーズンのみです。それはカルビーが全国各地に産地を有し、年間を通じた安定供給体制を構築しているからです。6月の出荷後、カゴメのジュース用にニンジンを栽培する生産者もいます。ニンジンや甘藷は、馬鈴薯と作業スケジュールが合うのだろうと思います」。

 カゴメとの契約栽培であるニンジンも、交渉ごとは多岐にわたるとJAほこた 営農企画推進課 廣田翔氏は補足する。加工用馬鈴薯との違いは、市場出荷と品種が同じという点だ。「見栄えが良くないニンジンは市場出荷には向きませんが、加工用なら問題ありません。カゴメの品質基準に沿っていれば出荷可能です。フードロス削減にも貢献します」。

 契約栽培は、生産者とメーカーの信頼関係がベースとなる。それを維持するには組織的対応が求められる。「生産者一人ひとりの意見は、事情や考え方によって様々です。生産部会などで生産者の意見を集約したうえで、生産部会の役員とJAほこたで内容を詰めます。生産者個人が食品メーカーに条件交渉をすることはなく、窓口はJAほこたの担当者がワンストップで行っています。産地としてまとまって交渉することが大事であり、食品メーカー側も安心してお取り引きいただけます」(鈴木氏)。

企業連携のメリットを生かして「安定経営」を実現

 生産者の高齢化、単価の高い作物栽培へのシフトにより、加工用馬鈴薯の栽培面積は減少傾向にあったと鈴木氏は話す。「2022年度は、加工馬鈴薯部会の人数は11名、全体で11町歩(ちょうぶ)(1町歩=約1ha)しか確保できませんでした。栽培面積の減少に歯止めをかけたのは、一人の生産者の登場でした。2023年度から大型機械を導入して、10町歩以上の規模で加工用馬鈴薯栽培を行いたいとの申し出があったのです。私とカルビーの担当者がその生産者を訪問し、大型機械の導入を支援するなど、実現に向けて話を詰めていきました。中長期的な観点では、生産者の高齢化対策の一環として、農地を集約し大型機械による加工用馬鈴薯生産も選択肢になると考えています」。

機械を用いた馬鈴薯収穫の様子
機械を用いた馬鈴薯収穫の様子
機械を用いた馬鈴薯収穫の様子

 契約栽培を維持し、さらに発展させるためには、企業連携の強みを生かすことが大切になると鈴木氏は指摘する。「企業連携により、全国規模で展開する食品メーカーのノウハウや情報、技術を、鉾田の豊かな農地に生かせるのは大きな強みです。JAほこたの枠を超えたコラボレーションにより、事業価値も向上します。重要なのは供給量・栽培面積の拡大が、生産者の安定収入増につながることです。地域で契約栽培の理解をより一層深めていくことが、今後JAほこたの重要なテーマとなります」。