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[コージェネシンポジウム2020レビュー1]概要報告 環境と成長の好循環の実現を目指してコージェネを取り込み脱炭素化と新ビジネス創出を

[コージェネシンポジウム2020レビュー1]概要報告 環境と成長の好循環の実現を目指してコージェネを取り込み脱炭素化と新ビジネス創出を
2020年3月11日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(コージェネ財団)は2020年2月7日、東京・イイノホールで「コージェネシンポジウム2020」を開催した。「環境と成長の好循環の実現を目指して」をテーマに有識者や企業関係者らが講演や鼎談を行った。世界が脱炭素へと進む中、わが国はコージェネレーション(熱電併給)システムを取り込んだ分散型エネルギーシステムの構築で環境と経済を両立することが求められる。議論の中では、そのために必要なポイント、解決すべき課題などが明らかになった。

脱炭素社会の早期実現を目指す

柏木孝夫コージェネ財団理事長
柏木孝夫コージェネ財団理事長

 「パリ協定」の発効を受け、世界では脱炭素化への動きが加速している。日本政府も昨年「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を策定。「今世紀後半のできるだけ早期に『脱炭素社会』を実現する」と掲げ、イノベーションを通じて環境と成長の好循環を目指そうと動き出している。

 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(コージェネ財団)は2月7日、「環境と成長の好循環の実現を目指して」というテーマで「コージェネシンポジウム2020」を開催した。

 冒頭、コージェネ財団の柏木孝夫理事長が開会挨拶に立った。環境と成長の好循環を実現するためのキーワードとして(1)イノベーション、(2)民間資金の活用、(3)ビジネス環境の整備を挙げた。「これまで日本のエネルギーシステムは大規模電源一辺倒だった。デマンドサイドに地域の自然エネルギーなどをうまく活用した地産地消型のエネルギーシステムができて大規模電源と共存していけば、脱炭素化と新たなビジネス環境の構築につながる。熱と電気を同時に生み出す高効率なコージェネレーション(熱電併給)システムは新たな時代のエネルギーシステムの要の存在。環境と成長の好循環を生み出すカギを握る」とその役割の大きさを指摘した。

 さらに、柏木理事長は「イノベーションを創出しながら、こうしたエネルギーシステムを導入したスマート&マイクロコミュニティーを構築することは日本の国土全体の強靱化につながる。そのモデルをつくり輸出すれば、地球温暖化という世界が抱える問題の解決にも貢献できる」と大きなビジョンを描き、期待感を示した。

 続いて、来賓として招かれた経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部の山崎琢矢政策課長が登壇。自由化、デジタル技術の普及などエネルギーを取り巻く環境の変化を踏まえた政府のエネルギー政策について触れ、「分散型エネルギーシステムを強力に推進すべく『エネルギー供給強靱化法案』を準備している」と明らかにした。

 新たな法体制では「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」を見直し、一部の競争的電源と呼ばれるものは市場価格と連動させたFIP(Feed in Premium)に移行することを予定している。また、電気事業法を改正し、電力大手が独占してきた配電事業に免許制を導入する考え。いずれも大規模電源と分散型電源が共存する時代に対応するものだ。

 山崎課長は「エネルギーシステムの転換点に当たり、国は新たな制度を用意し、体制を整えようとしている。皆さんはこの制度に息を吹き込んでほしい。既存プレーヤーだけで新しいエネルギーシステムをつくり上げることは難しい。多くの方が連携・融合しながら挑戦し、新たなビジネスが動き出すことを期待している」と来場者にメッセージを投げかけた。

 基調講演では公益財団法人地球環境産業技術研究機構の山口光恒参与が「地球温暖化への取組みと課題について」と題して世界の地球温暖化対策の動きを解説した。「パリ協定」の目標である「気温上昇2度未満」について、「炭素予算」やバイオマスエネルギーとCCS(CO2回収・貯留)を結びつけた技術「BECCS」などから考察した。

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部の山崎琢矢政策課長
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部の山崎琢矢政策課長

 続いて、日本総合研究所創発戦略センターの瀧口信一郎シニアスペシャリストと東芝エネルギーシステムズの佐藤純一水素・燃料電池技師長が特別講演を行った。瀧口氏は「ドイツが先導するエネルギーの3D+D」と題した講演で、2019年10月~11月にコージェネ財団が主催したドイツ視察の報告を行った。佐藤氏は「CO2フリー水素を活用した次世代の水素社会実現に向けて」と題し、東芝が取り組む水素事業の動きを紹介した。

 鼎談は「グリーンイノベーションによる経済成長」をテーマに行われた。内閣官房イノベーション総括官の赤石浩一氏、日本政策投資銀行企業金融第5部担当部長の原田文代氏、コージェネ財団理事長の柏木孝夫の3人が、国内外で取り組みが進むグリーンファイナンスやスマートシティーについて活発な議論を繰り広げた。

 シンポジウムでは今回で8回目となる「コージェネ大賞2019」の表彰式も行った。コージェネ大賞はコージェネ導入の先端事例の中から、民生用部門、産業用部門、技術開発部門で「理事長賞」「優秀賞」「特別賞」を選定するもの。今年度は計15件が受賞した。表彰式の後には各部門の理事長賞を獲得した企業の代表者が登壇し、受賞事例の概要を発表した。

 閉会に当たって、コージェネ財団の山﨑隆史専務理事は「昨今、エネルギー環境政策は大きな転換期を迎えている。コージェネ財団は今後も機をとらえた政策発信・情報発信によって会員企業の皆さんのお役に立ちたい」と挨拶し、シンポジウムを締めくくった。

 
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コージェネ財団は、SDGsの推進およびコージェネのSDGsに対する貢献の紹介を目的として、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構 理事長 村上周三氏を顧問に、東京農工大学教授 秋澤淳氏を主査とし会員企業より構成するワーキンググループを設立し、「コージェネレーションのSDGsへの貢献 参照ガイド」と「コージェネ提供価値アイコン」を作成、これを広くご利用いただけるようにいたしました。

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