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[財団10周年記念 コージェネシンポジウム2022 レビュー2]基調講演 カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー政策 「熱」の有効利用と脱炭素化を推進

[財団10周年記念 コージェネシンポジウム2022 レビュー2]基調講演 カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー政策 「熱」の有効利用と脱炭素化を推進
2022年3月16日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

「コージェネシンポジウム2022」では、基調講演に経済産業省資源エネルギー庁の茂木正省エネルギー・新エネルギー部長が登壇し、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー政策を語った。特に需要サイドのカーボンニュートラルでカギを握る熱エネルギーに関して、有効利用や脱炭素化を実現するための取り組みを説明し、その中でコージェネレーション(熱電併給)システムが重要な役割を果たすことを指摘した。

熱の有効活用にコージェネは重要なツール

茂木 正(もぎ ただし) 氏
茂木 正(もぎ ただし) 氏
経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長
 
Profile
1966年静岡県生まれ。92年北海道大学大学院修了。通商産業省(現経済産業省)入省。2009年資源エネルギー庁資源・燃料部政策課燃料政策企画室長、11年資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー対策課長、17年資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課長(併)熱電併給推進室長(コジェネ推進室)を歴任。20年より現職。

 2020年10月、菅前首相は「2050年カーボンニュートラル実現」を宣言し、2021年4月には、2030年度までの温室効果ガスの削減目標を従来の26%減から大きく前進させた46%減とすることを表明しました。

 2021年10月に就任した岸田首相はカーボンニュートラル社会実現のため「クリーンエネルギー戦略」の策定に動いています。エネルギー供給構造だけでなく、産業構造、国民の暮らし、地域のあり方全般にわたる経済社会全体の大変革に取り組もうとしています。

 日本のCO2排出量の約95%はエネルギー起源であり、4割強が電力部門、6割弱が需要サイドといわれる非電力部門によるものです。

 カーボンニュートラル実現には、電力供給構造の変革に加え、需要サイドのエネルギー転換、それに伴う製造プロセスの変革なども一体で進めなくてはなりません。

 2021年に策定した「第6次エネルギー基本計画」では、2050年を視野に、1つの道筋として2030年時点で、全体のエネルギー使用を効率化することで、省エネを第5次エネルギー基本計画から2割増の6200万klへ大幅に拡大し、その上で電源構成について非化石化するための再エネの推進と安定供給のため多様な電源の組み合わせとしました。

 需要サイドの取り組みのポイントは、「省エネ」と「分散型エネルギーリソースの活用」です。徹底した省エネを進めるにあたり、熱の利用高度化と未利用熱の利活用のため、全部門で規制の見直しと技術開発や導入支援を行うと同時に、非化石エネルギーの有効活用を推進するため、省エネ法の見直しの検討を進めています。もう1つの柱は蓄電システムやコージェネなど分散型エネルギーリソースの有効活用です。地産地消という効率的なエネルギー消費に加え、再エネの変動要素を需要シフトなどで調整力としても貢献します。

 需要サイドでカギを握るのが熱です。日本の民生・産業部門の消費エネルギーのうち約6割を熱需要が占めます。また、国内の1次エネルギー投入の約6割が有効利用されず排熱となっています。第6次エネルギー基本計画でも高効率な熱利用や未利用熱の活用拡大、熱源の脱炭素化を推進することを示しました。

 熱利用の高度化に関しては、高温領域の熱利用の高効率化と、捨てられることの多い低温排熱の回収・活用が課題です。産業ごとの熱の使われ方を丁寧に分析し、それぞれに応じた対策を講じることが求められます。コージェネは熱を有効活用する重要なツールであり、さらなる普及を支援します。

 未利用熱の活用については、断熱、蓄熱、熱電変換、排熱発電、ヒートポンプなどの要素技術開発を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進めています。連携省エネ計画認定制度など省エネ法でも未利用熱の活用に向けた制度や補助金により支援しています。

■ 需要側のカーボンニュートラルに向けた取組の鍵は「熱」
■ 需要側のカーボンニュートラルに向けた取組の鍵は「熱」
 

 
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