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コージェネ普及セミナー2016 エネルギーソリューションビジネスとコージェネレーション<後編>

コージェネ普及セミナー2016 エネルギーソリューションビジネスとコージェネレーション<後編>
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2016年7月20日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

経済産業省が2015年7月に発表した2030年のエネルギーミックス(電源構成)の中で、コージェネレーション(熱電併給)システムは電力量全体の約12%に当たる約1190億kWh程度の導入という数値目標が掲げられた。この目標を達成するためには何が必要か。その過程で地域や家庭にはどんな変化が訪れるか。「エネルギーソリューションビジネスとコージェネレーション」と題した講演の中で、東京工業大学特命教授の柏木孝夫氏が将来像を語った。

コージェネの効果的な活用には熱導管の整備を

 分散型電源の中核的位置を占めるようになると期待されるコージェネレーション(熱電併給)システムは電力ピーク対策だけでなく、BCP(事業継続計画)強化、レジリエンス(防災・減災による国土強靱化)の面からも評価が高まっています。

 東日本大震災、熊本地震を見ても、非常時にも自治体が住民管理でき、適切な行政を継続するためには、使用量全体の3分の1ほどの電力を発電できる体制が必要です。コージェネをうまく活用し、自立的で持続可能な災害に強いエネルギーシステムを構築することは極めて大きな意味があります。

 では、エネルギーミックスに掲げられたとおり、コージェネの普及が2030年、電力量全体の約12%、1190億kWhにまで到達し、日本各地に低炭素な地産地消型のスマートコミュニティが誕生するためには、何が必要でしょうか。

「熱導管と同時に電力の自営線や通信用の光ファイバーも敷設して『パイプ&ワイヤー&ファイバー』にすれば、民間投資が活発になり、雇用が生まれ、若い世代も住むようになるでしょう」(柏木氏)
「熱導管と同時に電力の自営線や通信用の光ファイバーも敷設して『パイプ&ワイヤー&ファイバー』にすれば、民間投資が活発になり、雇用が生まれ、若い世代も住むようになるでしょう」(柏木氏)

 私はインフラ整備が不可欠だと考えています。中でも重要なのが熱導管の敷設です。熱を融通するための基盤が整備され、コージェネが電気と同時に生み出す熱を地域の暖房や、熱吸収型の冷凍機による冷房などに使えれば、エネルギー効率の高いコージェネの特徴を最大限に生かすことができるからです。非常に公益性の高い事業であり、ぜひとも公共事業として取り組むべきだと思います。

 熱導管と同時に電力の自営線や通信用の光ファイバーも敷設して「パイプ&ワイヤー&ファイバー」にすれば、民間投資が活発になり、その地域には病院、介護施設、保育施設、植物工場など多様な施設が集まります。雇用が生まれ、若い世代も住むようになるでしょう。民間企業は投資から利益を生み出すことができ、ユーザーは電力や熱を融通しながら適正価格でエネルギーを利用することができ、自治体は税収が増える。「Win・Win・Win」の関係をつくることができます。地域が活性化し、理想的な地方創生の1つのモデルとなり得ます。

 コージェネを活用したスマートコミュニティ構築に向けた具体的なシナリオづくりは全国各地で進んでいます。

 総務省は2014年11月、「自治体主導による地域エネルギーシステム整備研究会」を立ち上げ、分散型エネルギーインフラシステムの普及によって地域を活性化しようと動き出しました。2015年8月には総務省を中心に資源エネルギー庁、林野庁、環境省の4省庁が連携し、「地域分散型エネルギーインフラプロジェクト」事業化促進に向けたタスクフォースも立ち上げています。現在、14のプロジェクトが進行中で、2020年までに全国100市町村に広げようとしています。

 ドイツでは電気、ガス、水道、交通などの公共サービスを提供するシュタットベルケ(地域インフラ公社)が電力供給の2割を担っています。いずれは日本も自治体主導で地域の電気やガス、水道などを供給するインフラサービス会社を展開するのが望ましいと思います。既に浜松市が昨年10月に浜松新電力を設立。木質バイオマスを活用したスマートコミュニティづくりを目指す北海道下川町も電力事業への参入を検討しています。

 
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経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が取りまとめた「第5次エネルギー基本計画(案)」が公開され、当財団としてパブリックコメントを提出いたしました。その結果および「第5次エネルギー基本計画におけるコージェネの位置づけ」について、資料を取りまとめております。

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