スペシャルリポート

[コージェネシンポジウム2024 レビュー2]基調講演 持続可能な社会の実現に向けたNEDOの取り組み イノベーション創出を支援、脱炭素社会の実現に貢献へ

[コージェネシンポジウム2024 レビュー2]基調講演 持続可能な社会の実現に向けたNEDOの取り組み イノベーション創出を支援、脱炭素社会の実現に貢献へ
2024年3月13日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

基調講演には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事長の斎藤保氏が登壇した。世界ではグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた動きが加速し、脱炭素への投資が活発に進んでいる。その中で、経済産業行政の一翼を担うNEDOは、持続可能な社会の実現に必要な技術開発の推進を通じてイノベーションを創出し、日本の国際競争力を強化しようと動く。GX分野で進む先進性の高い取り組みの数々を紹介した。

「イノベーション・アクセラレーター」の役割果たすNEDO

斎藤 保(さいとう たもつ)氏
斎藤 保(さいとう たもつ)氏
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 理事長
1952年山形県生まれ。1975年東京大学工学部卒業。同年石川島播磨重工業(現IHI)入社。2009年IHI取締役常務執行役員航空宇宙事業本部長、2011年同社代表取締役副社長を経て2012年同社代表取締役社長兼最高経営執行責任者に就任。2016年同社代表取締役会長兼最高経営責任者、2017年代表取締役会長を歴任。2023年より現職。

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、経済産業行政の一翼を担う公的な技術開発マネジメント機関です。

 ミッションは「エネルギー・地球環境問題の解決」と「産業技術力の強化」。技術戦略の策定、プロジェクトの企画・立案、資金配分等のマネジメントにより、持続可能な社会に必要な技術開発を推進します。リスクの高い革新的な技術の開発や実証を行い、成果の社会実装を促進する「イノベーション・アクセラレーター」の役割を果たしています。

 事業領域は蓄電池、水素、再生可能エネルギー、ロボット、半導体、材料、高効率火力発電、CO2の回収・貯留・活用(CCUS)、スタートアップ支援など多岐にわたります。

 近年は、国の重要政策と連動する形で基金事業が大きな比重を占めるようになりました。グリーンイノベーション(GI)基金事業、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業、経済安全保障重要技術育成プログラムなど、現時点で合計8基金、総額で8兆円以上の基金事業を抱えています。

 NEDOは1980年、新エネルギー総合開発機構として発足しました。2度のオイルショックを受け、石油代替エネルギーを研究開発する「サンシャイン計画」や省エネルギー技術を研究開発する「ムーンライト計画」を推進する中核組織に位置づけられました。

 設立以来40年以上にわたり、産学官の結節点となり、研究開発プロジェクトを先導してきました。NEDOのプロジェクトの成果は、今日の日本の社会インフラや産業を支えるものとなっています。

 世界では今、グリーントランスフォーメーション(GX)に向けた動きが加速しています。クリーンエネルギーに対する投資も拡大しています。その多くは太陽光発電のような再生可能エネルギーや省エネへの投資です。一方、カーボンニュートラルに向けた現実的なトランジションを図るため、天然ガス火力発電に水素を混焼する取り組みも進んでいます。欧米諸国を中心に、CCS(CO2の回収・貯留)やCCUSの容量を増大する動きもあります。

 日本では2020年10月、当時の菅義偉首相が所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。経済と環境の好循環を作る産業政策として「グリーン成長戦略」を策定し、その戦略に基づき、カーボンニュートラルに向けた野心的な取り組みを支援するGI基金を創設しました。

 2022年には、岸田文雄首相が10年間で150兆円規模のGX関連投資を行うことを表明しました。2023年2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」には、「GX経済移行債」による20兆円規模の先行投資支援とカーボンプライシングを含む規制・制度の両輪で、官民の投資を促す「成長志向型カーボンプライシング構想」が盛り込まれています。

 NEDOも、GX経済移行債による投資の一環として、GI基金事業で水素還元製鉄などの研究開発支援を先行して進めています。2024年度からは、新たにGX分野のディープテック・スタートアップを支援する事業を開始する予定です。

 GX政策でクリーンテックへの投資を進める際には、経済安全保障にも配慮しています。次世代のエネルギーを支えるクリーンテックは、革新的な製品、サービスを可能とするための基盤技術です。クリーンテックのサプライチェーンはエネルギー安全保障を左右します。サプライチェーン上に新たな依存リスクを抱えることなく脱炭素の取り組みを進めることが必要です。

 太陽電池を例にとれば、現在、ほぼすべての太陽光パネルが中国生産とみられ、経済安全保障上のリスクを抱えています。一方、次世代型の「ペロブスカイト太陽電池」の主な材料はヨウ素で、日本が生産量の30%と世界第2位のシェアを占めます。

 NEDOでは、経済安全保障政策を踏まえ、サプライチェーンの安定性を考慮した研究開発支援を行っています。

■ イノベーション・アクセラレーターとしてのNEDOの役割

イノベーション・アクセラレーターとしてのNEDOの役割

 
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