柏木孝夫氏(以下敬称略):2030年までの20年弱の間に、総電力量におけるコージェネの割合を15%まで拡大するためには、どんな具体策を打っていくべきでしょうか。
橘川武郎氏(以下敬称略):今までのように、工場など熱の需要のあるところだけにコージェネを入れる方法では、とても15%なんて達成できないでしょう。民生用のビルや家屋にも、太陽光発電とコージェネをセットで設置していくパターンをどれだけ広げられるかの勝負になると思います。

「民生用のビルや家屋にも、太陽光発電とコージェネをセットで設置していくパターンをどれだけ広げられるか」と橘川氏(右)
電力会社も石油火力に頼るより、コージェネの電気を買い上げた方が安いはずです。よく柏木先生がお話される、「安い順に買う」というメリットオーダーの考え方を徹底することから、まず始めていく必要があると思います。このように、すぐ実行できるのにまだ着手していないことが、目先でも色々とあるのではないでしょうか。
柏木:ですから、市場の創成が非常に重要なんですよね。これについては、経産省の中でも動きが早く、昨年には卸電力市場の枠が外されて、小規模な電源でも売れるようになりました。
コージェネを本気で導入していこうとするなら、基金のようなものを作って、ガスや石油の料金から寄付金を集め、これによって補填しながら、学校などの公共施設にコージェネを導入していくなどの方法を考えてもよいでしょう。BCP(事業継続計画)など様々な観点からも有効な方策だと思います。

「スマートコミュニティのようなシステムによって、トータルで最も効率の高いベストミックスを見いだす枠組みの中で、コージェネを含む民生での分散型電源の導入を増やしていくことが望ましい」と佐藤氏(右)
佐藤ゆかり氏(以下敬称略):各電源は、それぞれに単価も特性も異なりますし、分散型電源の導入には投資コストも伴います。スマートコミュニティのようなシステムによって、トータルで最も効率の高いベストミックスを見いだす枠組みの中で、コージェネを含む民生での分散型電源の導入を増やしていくことが望ましいと考えます。
橘川:実は、はっきり言ってしまうと、電力システム改革は原発再稼働と絡めて進めてよいのではないかと、私は思っています。再稼働するからには、原発が立地している街はすべてスマートコミュニティにする。被災地についても、小規模でもいいですから、ある程度、送電網を開放してスマートコミュニティのモデルをつくっていく。そのようなスマートコミュニティの実現に向けた政治判断が、必要ではないでしょうか。
これまでは、原発で地元が振り回されてきましたが、今後は原発を使って地元が電力会社や政府を振り回す時代に変わってきていると思います。その1つの切り札が、スマートコミュニティです。
柏木:特区構想とうまく連携させて、スマートコミュニティを構築していくのは、いかがでしょうか。
佐藤:政府では、国際的な立地競争力を高めるような特区構想を進めています。エネルギーも産業基盤であり、大事な競争基盤になり得るはずです。しかし、原発の立地をスマートコミュニティにするのかどうかの判断は、地域に対する雇用の促進や、経済効果などをもう少し分析することが必要だと思います。