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[コージェネシンポジウム2020レビュー3]特別講演 ドイツ視察と水素事業への取り組みを報告

[コージェネシンポジウム2020レビュー3]特別講演 ドイツ視察と水素事業への取り組みを報告
2020年3月25日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

「コージェネシンポジウム2020」では、日本総合研究所創発戦略センターの瀧口信一郎シニアスペシャリストと東芝エネルギーシステムズの佐藤純一水素・燃料電池技師長が特別講演を行った。瀧口氏は「ドイツが先導するエネルギーの3D+D」と題し、2019年10~11月にコージェネ財団が主催したドイツ視察を報告。佐藤氏は「CO2フリー水素を活用した次世代の水素社会実現に向けて」という題で東芝エネルギーシステムズが取り組む水素事業の概要を紹介した。

社会性・地域性重んじつつ脱炭素化を推進するドイツ

ドイツが先導するエネルギーの3D+D

日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト
瀧口信一郎

 

 コージェネ財団は2019年10月27日~11月2日に海外調査を主催した。東京農工大学の秋澤淳教授を団長に総勢13人が参加。ドイツを訪問し、再生可能エネルギー活用や電力ビジネスの状況などを視察した。特別講演では視察団に加わった日本総合研究所創発戦略センターの瀧口信一郎シニアスペシャリストが「ドイツが先導するエネルギーの3D+D」と題し、その内容を報告した。

 欧州連合(EU)は持続可能な社会の実現に向け、経済活動を独自に分類し、気候変動の緩和・適応などの分野で企業がとるべきアクションを定義づける「EUタクソノミー(分類)」の検討を進めている。こうしたEUの脱炭素化の方針を最も具現化しつつあるのがドイツ。19年には再生可能エネルギーの発電構成が46・1%に達し、30年にはその比率をさらに65%まで高めようと動いている。

日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト 瀧口信一郎
日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト
瀧口信一郎

 瀧口氏はドイツのエネルギー市場の現状を、市場取引が進化した「Deregulation」と市場を活用した低炭素化「Decarbonization」、シュタットベルケが担う地域分散モデル「Decentralization」、分散モデルでも試行されるデジタル化「Digitalization」の「3D+D」で説明した。市場を活用した低炭素化の一例として、アウディが天然ガス自動車「G-tron」で試行する「パワーツーガス(P2G)」を紹介。瀧口氏は「単なる実証実験ではなく、電力価格の変動を生かし安い時間帯の電気を使うことにより、収支が成り立つ仕組みをつくり上げていることに驚いた」と感想を述べた。

 シュタットベルケが担う地域分散モデルについては、ローゼンハイムのシュタットベルケ視察の内容を報告した。自由化以降、ドイツのシュタットベルケは熱導管の整備を進め、地域でしかできない熱供給事業を拡大している。小規模なシュタットベルケが共同開発というアプローチをとり、洋上風力開発やデジタルシステム開発など新たな取り組みを進めていることも紹介した。

 瀧口氏は「ドイツは社会性や地域性を重んじつつ、電力システム改革自由化を通じた市場化の基盤の上に再生可能エネルギーの電力利用、燃料利用、熱利用を組み合わせ、脱炭素化・デジタル化を推進している。今後もその取り組みには注目していく必要がある」と講演を締めくくった。

 
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