エネルギー市場は今、大きな構造変化に直面している。
これまで、国内では人口減少や効率的なエネルギー利用などにより、電力需要は減少すると見込まれてきた。ところが、AIの普及、DXの進展、半導体工場やデータセンターの増設などにより、2023年度を底に電力需要は増加に転じている。2025年に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、2040年度の電力需要が2023年度比で約2割増えるという見通しが示されている。
コージェネシンポジウム2026の冒頭、挨拶に立った柏木孝夫理事長は「省エネの進まないデータセンター等が増えれば、2040年度の電力需要が5割増になる可能性もある。これからはカーボンニュートラル達成を見据え電力を低炭素・脱炭素型に転換しながら、供給量を増やすことにも取り組まなければならない。これまで進めてきた自由化の枠組みの中で、アフォーダブルかつエネルギーセキュリティーを確保できるエネルギーシステムの構築に挑戦することになる」と説明した。
そのためには、再生可能エネルギーの最大限の活用が求められる。だが、電力には同時同量の原則がある。変動性の高い太陽光発電による電力を使い切れず、今世界では「発電量の7%ほどを捨てている」(柏木理事長)のが実情だ。今後は太陽光など再エネの発電量の多い時には需要を増やし、ゼロエミッション型電力を無駄なく使い切る工夫が不可欠となる。また需要を減らすだけでなく、「コントロールする」という発想が重要で、DXの重要性は一層高まる。

コージェネ財団 理事長 柏木孝夫
変動性の高い再エネを十分に活用するためには、調整役を果たす電源の導入も必要となる。その解の1つがコージェネレーション(熱電併給)システム(以下、コージェネ)だ。デマンドサイドに電気も熱も生み出すコージェネを核とする分散型エネルギーシステムを構築することで、需給バランスを調整しながらエネルギーを効率的に活用することが可能になる。
柏木理事長は「最終エネルギー消費量のうち約6割は熱が占める。カーボンニュートラル達成には熱の低炭素化・脱炭素化が欠かせない。まずは化石燃料の中でCO2排出量の少ない天然ガスを燃料とするコージェネを導入し、面的に活用することが重要となる。最終的に、ガスをメタネーション化したり水素に置き換えたりすればゼロエミッションを実現できる。カーボンニュートラル社会の実現に向け、コージェネの有効性は末永く続いていく」と力を込めた。