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コージェネ普及セミナー2016 エネルギーソリューションビジネスとコージェネレーション<前編>

コージェネ普及セミナー2016 エネルギーソリューションビジネスとコージェネレーション<前編>
2016年7月6日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

今年4月、電力小売市場が全面自由化された。電力システムにおけるデジタル革命が本格化した後に初めて自由化を果たす日本の動向に世界の注目が集まっている。日本のエネルギーシステムはどう変わり、その中でコージェネレーション(熱電併給)システムはどんな役割を果たすのか。「エネルギーソリューションビジネスとコージェネレーション」をテーマとした講演で東京工業大学特命教授・名誉教授の柏木孝夫氏が展望した。

デジタル革命後に迎える日本の電力自由化に世界が注目

 日本のエネルギーシステムは今、大きな転換期を迎えています。

 電力小売市場は今年4月に全面自由化されました。来年4月には都市ガス小売市場も全面自由化されます。市場原理が働く中、分散型エネルギーを取り込みながら、効率的、効果的なエネルギーシステムを構築していくことが求められています。

 電力自由化について、日本は「世界の中で遅れている」という声があります。しかし、私はそうは思いません。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏
柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏
東京工業大学 特命教授・名誉教授
コージェネ財団 理事長
1946年東京生まれ。70年、東京工業大学工学部生産機械工学科卒。79年、博士号取得。東京工業大学工学部助教授、東京農工大学工学部教授、東京農工大学大学院教授などを歴任後、2007年より東京工業大学ソリューション研究機構教授、12年より特命教授・名誉教授。11年よりコージェネ財団理事長。経産省の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長などを歴任し長年、国のエネルギー政策づくりに深くかかわる。現在、同調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会長、基本政策分科会委員などを務める。主な著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。

 電力自由化を先駆けたのは英国です。サッチャー政権時代の1990年に部分自由化が始まり、99年に全面自由化を果たしました。ドイツはその前年の98年に全面自由化しています。対する日本は2000年から部分自由化がスタート。2016年に全面自由化しました。これだけ見ると、先行していた国とは確かに15~20年ほどの隔たりがあります。

 しかし、英国やドイツが自由化したのはアナログの時代のことです。それに対して、日本はデジタル時代に入ってから自由化を迎えました。新たな時代における、世界の先駆け的な存在といえます。

 株取引で考えてみてください。アナログの時代、投資家は証券会社に電話で売買の指示を出すしかありませんでした。それに対し、デジタルの時代には細かい株価の変動に合わせてインターネットで随時売ったり買ったりできるようになりました。1日のうちに売買を繰り返す「デイトレーダー」が登場するなど、投資の状況が様変わりしたのは皆さんもご存じの通りです。

 デジタル革命が起きた今は、すべてのものがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット)時代を迎えています。インターネットとエネルギーシステムが一体化したデジタル時代の自由化は、アナログ時代の自由化とは大きく異なるはずです。

 発電量が不安定な太陽光や風力などの自然エネルギーを取り込みながら、ICT(情報通信技術)を駆使し、需要側で電力の使用を最適化する「デマンドレスポンス」を実現する。ピークを出さず、系統への負荷を軽減する。インターネットが普及し、リアルタイムで大量の情報を処理できるからこそ、こうしたきめ細かなコントロールも可能です。

 デジタル革命後に自由化し、新しい時代のエネルギービジョンを描く初めての国として、今、世界が日本の動向に注目しているのです。

 
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