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[特別講演会2025]特別講演 ENEOSグループのカーボンニュートラルへの取り組み

[特別講演会2025]特別講演 ENEOSグループのカーボンニュートラルへの取り組み
2025年9月24日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

ENEOSホールディングス 常務執行役員 CTOの藤山優一郞氏は「ENEOSグループのカーボンニュートラルへの取り組み」と題した特別講演を行った。ENEOSグループが未来予測として3つのシナリオを描いていることを明かし、いずれにおいてもトランジション期には「化石燃料・製品の低炭素化」「再生可能エネルギーの拡大」「バイオマス等資源の利活用」「化石燃料の脱炭素化」「水素等の利活用」という5つの施策が必要と説明した。それぞれの領域でENEOSグループが進める取り組みを紹介した。

経済合理性の高い施策からトランジションを進める

 ENEOSグループはもともと手掛けていた石油事業から、新電力、再生可能エネルギーなどエネルギー全体へと事業ポートフォリオを拡大しています。エネルギー新時代を迎える今、我々がどのような取り組みを行っているかを紹介していきます。

 菅義偉元首相が「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」と2020年に宣言してから5年、世界は大きく変わりました。振り子が端から端へと振れた感覚です。ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化を受け、エネルギー安全保障への関心が急速に高まりました。

藤山 優一郎 (ふじやま ゆういちろう)氏
藤山 優一郎 (ふじやま ゆういちろう)氏
ENEOSホールディングス常務執行役員 CTO
1966年兵庫県生まれ。1990年東京工業大学(現東京科学大学)大学院総合理工学研究科修了。同年日本石油入社。2009年東大EMP(Executive Management Program)修了。2010年鹿児島大学工学部社会人博士課程修了。2014年JX日鉱日石エネルギー中央技術研究所燃料研究所長兼製造部副部長を経て2016年JXエネルギー中央技術研究所長に就任。2017年JXTGエネルギー執行役員中央技術研究所長、2022年ENEOS常務執行役員中央技術研究所長、2023年ENEOSホールディングス・ENEOS常務執行役員、2024年ENEOSホールディングス常務執行役員 CTO、ENEOS常務執行役員に就任。現在に至る。

 各国の輸送部門からのCO2排出量推移(車の排ガス総量)を見ると、日本は2001年比で2022年に23%削減しています。欧米各国はあまり減っていないばかりか、増えている国もあります。各国とも、日本が主張してきたマルチパスウェイの方がCO2排出量を減らせると気づき、多様かつ現実的なアプローチを志向するようになっています。重視すべきは経済合理性です。当社もいろいろなカーボンニュートラル対策を講じていますが、お客様が受け入れやすい経済合理性の高い施策を先行する必要があると考えています。

 これだけ激しい変化の中では、1つの未来予測は危険です。ENEOSグループは想定する社会シナリオとして、3つのシナリオを策定しました。キードライバーとして「環境に対する市民意識」と「国際協調の進展」を縦軸と横軸にとり、左下から右上に向かって「Driftシナリオ」「Currentシナリオ」「Beyondシナリオ」の3つを描いたのです。右上に行くほどCO2の削減は進みます。

 Currentシナリオでは、社会動向でいうと、国際的な脱炭素の連携は限定的な中、先進国を中心に環境の取り組みが進展する。国際ルールの整備が進んでいる航空・船舶等の取り組みが進展するという状況です。

 3つのシナリオにおける世界の温室効果ガス排出量も予測しました。2020年を基準とすると、2040年に「Driftシナリオ」で8%増、「Currentシナリオ」で24%減、「Beyondシナリオ」では62%減となりました。国内の温室効果ガス排出量は2013年度を基準とすると、2040年に「Driftシナリオ」で45%減、「Currentシナリオ」で56%減、「Beyondシナリオ」で76%減でした。

 こうした未来に向けてトランジションが進むにつれ、社会では「化石燃料・製品の低炭素化」「再生可能エネルギーの拡大」「バイオマス等資源の利活用」「化石燃料の脱炭素化」「水素等の利活用」という5つの施策が進むと考えられます。シナリオによって時間軸は変わるかもしれません。

 5つの施策に関して、一昨年ぐらいまでは世界的に「今すぐ全部やろう」「お金がいくらかかってもやるべき」という状況でした。今は「アフォーダブル」がキーワードで、「経済的に成り立つものからやろう」という考え方が中心になっています。

 時代がたてば技術が進化しコストも下がります。市民意識も高まり、カーボンニュートラルにかけるお金の上限も上がると想定されます。

 我々も「やれることからやろう」という考えです。

 
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