デンマークは、CHP(以下コージェネ)の導入比率が高い国であるとともに、近年では風力発電を中心とする再生可能エネルギーの普及も非常に進んでいます。ではなぜ、デンマークで再生可能エネルギーが普及しているのか。その要因の1つとして、デンマークのエネルギー政策があります。1970年代のオイルショックを契機に、デンマークは輸入原油量を削減する方向で、その代替として風力や太陽光、バイオマスに由来する再生可能エネルギーを国の重要なエネルギー源と位置づけながら、それを普及させるための政策を組んでいきました。
まず注力したのが熱供給です。石油系の暖房から転換するために、熱供給法を制定した上で、どこで地域暖房を用い、どこで天然ガスを使うのかゾーニングしました。
その後、1985年には、原子力発電所の建設停止を決定。それに伴い、国内で天然ガスや石油の開発を進めます。そして、1990年代には、火力発電をコージェネへ転換するとともに、電気とガスの市場を自由化しました。

村上 公哉(むらかみ きみや)氏
芝浦工業大学工学部建築工学科 教授
工学博士。専門分野は建築・都市環境設備計画。1985年、早稲田大学理工学部建築学科卒業。91年、早稲田大学大学院博士課程修了。その後、早稲田大学理工学総合研究センター講師、助教授を経て、98年より芝浦工業大学工学部建築工学科 助教授。2005年より現職。都市の空間情報および環境エネルギー情報等に基づく、省エネ・省CO2な都市空間構造の分析や、地区空間構造に適したエネルギーシステムなどの計画手法について研究。また、建築・地区の環境配慮・防災併活用設備システム計画などについても研究。主な著書に「環境に配慮したまちづくり」「都市・地域エネルギーシステム」(いずれも共著)など。
デンマークにおけるコージェネの導入量は、電力設備容量で約5.5GWですから、約10GWの日本の方が普及していると言えます。ただ、総発電電力量に対する割合で見ると、日本が約3%なのに対し、デンマークは実に約46%にも及びます。さらには、デンマークの火力発電の中でコージェネの占める割合は70%超、また地域熱供給における熱源としてもコージェネの割合は70%超と極めて高いです。地域熱供給においても、発電においても、コージェネというものが非常に重要な位置づけにあります。なお、デンマークにおけるコージェネの燃料は、石炭系が48%、バイオマス等の再生可能エネルギーが23%を占めているのも特徴です。
では、なぜデンマークは、これだけ地域熱供給を普及させられたのか。その理由の1つが、社会システムの改革です。政府が、最も費用対効果の良い形でエネルギーシステムを計画し、都市の中でその計画がきちんと進められているのかどうかを監視するほか、地域熱供給と他の熱源における厳格なゾーニングなどを行います。
ですが実際には、自治体の役割が非常に重要です。自治体自らが、1979年に施行された熱供給法に基づき、都市計画や街づくりの中でどのように地域熱供給を整備していくかという計画を、ユーティリティ会社やエネルギーコンサルタントと連携しながら企画し、進めている点が非常に特徴的と言えます。また、自治体や、日本で言う生活協同組合のような団体が、エネルギーシステムを所有している点も特徴です。自治体が街の地域熱供給システムの整備に関わっていたり、需要家あるいは受益者である消費者の方々自らが、こういったシステムを所有していたりするというのは、地域熱供給が社会インフラ化している証しであると思います。