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[コージェネ財団特別講演会2021レビュー3]パネルディスカッション 地域でのエネルギーシステム まちづくりの中で脱炭素性・強靱性の向上を

[コージェネ財団特別講演会2021レビュー3]パネルディスカッション 地域でのエネルギーシステム まちづくりの中で脱炭素性・強靱性の向上を
2021年9月29日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

特別講演会では「地域でのエネルギーシステム」と題したパネルディスカッションが行われた。パネリストとして国土交通省都市局市街地整備課長の菊池雅彦氏、日建設計取締役常務の堀川晋氏、パシフィックパワー代表取締役社長の合津美智子氏、ヤンマーエネルギーシステム開発部部長の栄孝典氏が登壇し、脱炭素化に向けたまちづくりや、そこで構築されるべき分散型エネルギーシステムのあり方について語り合った。司会進行はコージェネ財団の武田晃成専務理事が務めた。

アフターコロナ時代に求められるまちづくりとは

菊池 雅彦(きくち・まさひこ) 氏
菊池 雅彦(きくち・まさひこ) 氏
国土交通省
都市局 市街地整備課長

武田晃成氏(以下敬称略):新型コロナウイルス感染症の拡大によって、都市から人が流出し、地方へ移住・定住する流れが生まれつつあります。地域でのエネルギーシステムを考える前段として、まず国土交通省の菊池さんに、まちづくりについてお聞きします。アフターコロナ時代を迎え、持続可能なまちづくりを実現するため、どのような政策を進めていますか。

菊池雅彦氏(以下敬称略):人口減少や高齢者の増加、市街地の拡散によって、都市機能の低下、地域経済の衰退などの問題が生じています。そこで国土交通省が進めてきた都市政策が「コンパクト・プラス・ネットワーク」です。生活サービス機能と居住の集約・誘導、公共交通ネットワークの再構築で、生活利便性の維持・向上や地域経済の活性化、行政コストの削減、環境への負荷低減を目指そうとしており、アフターコロナ時代においても有効な政策だと考えています。

 この政策を実現するために創設したのが「立地適正化計画制度」で、2014年に施行以来、500都市ほどで取り組みが進んでいます。コンパクトシティ形成に合わせ、自立分散型面的エネルギーシステムの導入も進めています。政策実現のツールとして設けた「都市構造再編集中支援事業」では、今年度からコージェネレーション(熱電併給)システムや自営線など、分散型エネルギーシステムの整備に向けた助成も行っています。6月に取りまとめた「地域脱炭素ロードマップ」の中でも、重点対策の7番目に「コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり」を挙げています。エリア単位で脱炭素化に向けて包括的な取り組みを進めることがうたわれています。

武田:コロナ禍で多くの会社が在宅勤務を拡大しました。アフターコロナ時代にも、その一部は残ると思われます。日建設計はこれからの働き方、暮らし方をどのように思い描いていますか。その時、エネルギーはどのような活用がされるでしょうか。

堀川 晋(ほりかわ・すすむ) 氏
堀川 晋(ほりかわ・すすむ) 氏
日建設計
取締役常務 エンジニアリング部門統括

堀川晋氏(以下敬称略):アフターコロナ時代には、都心と郊外がモザイク状に混ざり合う形になると思います。既に今も多くの会社がデジタルワークプレースを構築し、社員はクラウドに置いたデータを使いながらどこからでも仕事ができるようになっています。「今日はオフィスと家とどちらで働こうか」と選択する機会も生まれるでしょう。その結果、人が分散し、通勤手段が多様化し、エネルギー高密度が解消されます。再生可能エネルギーの活用も進むでしょう。

 都心は人や企業とのコラボレーションによって創造力を高める場所として、郊外はサードプレース的に働く場所として、それぞれが新たな価値を生みながら結びつく方向に向かうのではないかと考えています。

 日建設計は菅政権の「50年カーボンニュートラル」宣言を機に、これまでに設計した建物がどれぐらいCO2を排出しているかを計算しました。その結果、日本全体の1%に上ることがわかり、責任は非常に重いと痛感しています。働き方、暮らし方の多様化が進む中でカーボンニュートラルの取り組みを進めるには床面積当たりのCO2排出量(kg-CO2/m2)を評価するだけでは不十分です。一人ひとりがCO2排出の少ない交通手段、住宅、オフィスを選択できるよう、日建設計は個人にタグづけされた指標(kg-CO2/人)で評価するCO2排出カウンターアプリを開発しようとしています。

■ 国土交通省:コンパクト・プラス・ネットワーク
■ 国土交通省:コンパクト・プラス・ネットワーク
 

■ 日建設計:都市機能が分散した地域で促進される地域グリッドとカーボンニュートラル
■ 日建設計:都市機能が分散した地域で促進される地域グリッドとカーボンニュートラル
 

 
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