震災で被害を受けた東北において、トヨタ自動車は、次世代を先取りした工業団地と地域振興の新たな構想「F-グリッド」を描き、具現化に向けて始動した。舞台は、グループ会社のトヨタ自動車東日本がハイブリッド車などを生産する宮城県大衡村の工業団地。国内のものづくり拠点におけるエネルギーセキュリティの確保と、震災復興への貢献を目指す。
「エネルギーセキュリティを確保し、災害対応力を強化した工業団地を実現するには、ガスエンジンコージェネから発生する排熱の活用が要となります」と、F-グリッドの責任者であるトヨタ自動車 新事業企画部 企画室長の等哲郎氏は話す。
発電の過程で生成された175℃の蒸気は、トヨタ自動車東日本の塗装工程で用いる。また、98℃の熱水は、組み立て工場に隣接する植物工場の暖房に利用。さらに67℃の低温水についても、排水処理施設や塗装工場で使い切る仕組みを導入している。
こうした排熱の有効利用によって、「コージェネの発電効率49%を大幅に上回る、最大80%にまで、総合エネルギー利用効率を引き上げるのが目標」(等氏)という。

コージェネ排熱の有効利用
例えば、今年4月にエネルギー供給を開始した植物工場では、パプリカを栽培している。栽培するのは、豊田通商グループが出資する農業生産法人のベジ・ドリーム栗原(宮城県栗原市)。工業団地内に新設した大型の栽培ハウスは、自動車工場に隣接する。F-グリッドのコージェネから排出される98℃の熱水をパプリカ栽培ハウスに供給し、ビニールハウスの温度維持に活用して環境への負荷を抑える。