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[コージェネシンポジウム2017レビュー2]基調講演 電力・ガスシステム改革の動向と展望

[コージェネシンポジウム2017レビュー2]基調講演 電力・ガスシステム改革の動向と展望
2017年3月1日(水)公開
取材・文/中村実里 写真/加藤康
 

コージェネ財団が2月9日に開催した「コージェネシンポジウム2017」において、一橋大学大学院商学研究科の山内弘隆教授は、「電力・ガスシステム改革の動向と展望」をテーマに基調講演を行った。ガスシステム改革の目的や、政策決定までの経緯を解説するとともに、航空業界や電気通信業界、海外などの事例を挙げながら、エネルギー業界にも応用できる新たなビジネスモデルやシステム構造などを示唆し、エネルギー市場の未来像を展望した。

産業活性化と事業機会の創出を

山内 弘隆(やまうち ひろたか)氏
山内 弘隆(やまうち ひろたか)氏
一橋大学大学院 商学研究科 教授
1955年、千葉県成田市生まれ。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了。中京大学商学部専任講師、同大学経済学部専任講師、一橋大学大学院商学研究科長兼商学部長を経て現職。所属講座は、ビジネスエコノミクス講座、ネットワーク経済論。専門領域は、交通経済論、公共経済学、公益事業論、規制の経済学など。内閣府PFI推進委員会委員、国土交通省交通政策審議会委員、同省社会資本整備審議会臨時委員などを歴任。現在、財務省財政制度等委員会委員、総務省情報通信審議会委員、経済産業省資源エネルギー庁調達価格等算定委員会委員、同省総合資源エネルギー調査会委員などを務める。『運輸・交通における民力活用─PPP/PFIのファイナンスとガバナンス』『公共の経済・経営学─市場と組織からのアプローチ』『交通市場と社会資本の経済学』など著書多数。

 航空業界や通信業界での規制緩和が始まった頃には、政府の出番や役割は小さくなると言われていました。マーケット主導となり、公的介入が減るからです。しかし、電気通信業界などでは、規制緩和を行っても行政の役割は減らないどころか、むしろ従来以上に増えました。今回エネルギーが本格的に自由化となりますが、電気通信業界よりも、さらにその傾向が強くなるでしょう。競争に任せるところと、従来通りに独占的に行うところとが並存していくわけです。そのために、ルール作りや運用の公平性が、重要になります。

 ガスシステム改革は、電気と同様に2011年3月11日の東日本大震災が出発点です。改革の目的は4つあります。中でも、災害時のために強靭化しながら、いかに効率的にエネルギーを供給してマーケットを動かしていくのか、そうした安定的な供給の確保を第1の目的としています。ガスの場合には、導管網がまだまだ十分ではありません。しかし、たまたま新潟とパイプが結ばれていた仙台は、震災時にとても復旧が早かったという事実もあることから、このネットワークの強靭化を目的の1つとして掲げています。

 2つめは、料金の問題です。マーケットを働かせるわけですから、当然に市場のメカニズムによって消費者側へ恩恵がもたらされなければいけません。その意味で、料金をできるだけ安く、最大限に抑制することが必要です。

 また消費者側から見ると、利用メニューの選択肢が多様で自由に選べ、自分に合った満足度の高い選択ができるというメリットがなければいけません。一方で、事業機会の拡大も求められます。産業を活性化して、多様な事業機会を与えていくためにも自由化が大事だということです。

 加えて、最後の目的として、天然ガス利用方法の拡大が挙げられます。これにより、多様な技術革新を起こしていくことが大切です。

 
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来る2月15日、コージェネ財団は、「IoTネットワークによる超スマートシティへのアプローチ」をテーマに、「コージェネシンポジウム2018」を東京・千代田区のイイノホールで開催します。翌16日には、テクニカルツアーも実施します。ぜひご参加ください。

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