コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(ACEJ)主催による特別講演会の第2部では、三井不動産 ビルディング本部 運営企画部長の丸山裕弘氏、トヨタ自動車 新事業企画部 企画室長の等哲郎氏、清水建設 ecoBCP事業推進室長の那須原和良氏、日本総合研究所 執行役員・創発戦略センター所長の井熊均氏が、パネリストとして登壇。ACEJ専務理事の石井敏康氏がコーディネーターを務め、「コージェネレーションを核としたスマートコミュニティの構築について」と題したパネルディスカッションが行われた。
実際にスマートコミュニティ事業を推進する企業のエキスパートらが、まず自社の取り組みを紹介。それらの事例を踏まえ、コージェネレーション(熱電併給)システムを核としたシステムの価値や、運営面での課題、普及策などを提言。日本の成長戦略や海外市場も視野に入れた今後の展開について議論を深めた。

丸山裕弘(まるやま やすひろ)氏。三井不動産 ビルディング本部 運営企画部長。1982年横浜国立大学経営学部卒、同年三井不動産入社。2010年ビルディング本部運営企画室長(2012年から運営企画部に改称)、現在に至る。霞が関ディー・エイチ・シー代表取締役社長を兼務。総務省消防庁予防行政のあり方に関する検討会、国土交通省バリアフリーネットワーク協議会、東京消防庁火災予防審議会の委員、東京ビルヂング協会管理委員会の副委員長なども務める
石井敏康氏(以下敬称略):三井不動産が日本橋という伝統的な街で、先進的なスマートコミュニティ「日本橋スマートシティ」を構築しようと考えたのは、どのような理由からでしょうか。コージェネを核としたスマートコミュニティに対して、どのようなことを期待されているのでしょう。
丸山裕弘氏(以下敬称略):日本橋の再開発が、今回の取り組みの大きな契機になりました。スマートコミュニティに必要なコージェネなどのプラントを整備しようとする場合、かなり大きな空間が必要になり、既存の建物に導入するのでは限界があるので、再開発ビルを核として既存街区にもコージェネからの電力・熱を供給し、街全体でのBCP(事業継続計画)と省エネを実現する計画です。
もともとは、日本橋をさらに活気ある街にしていくことをテーマにスタートしたプロジェクトでした。「残しながら甦らせながら作っていく」というコンセプトで、江戸の街にあったような良いところを残し、あるいは甦らせながら、新しい街づくりを進めています。
一昨年の震災以降は、社会的な要請の高まりから、BCPに対応した都市防災力の強い街づくりを目指してきました。電力や熱などを供給するという公共性と同時に、事業性や採算性もこだわっています。
石井:トヨタ自動車グループでは、仙台市近郊の宮城県大衡村の工業団地でスマートコミュニティ「F-グリッド」の構築に取り組まれています。単体の工場だけではなく、周囲も巻き込む形で進めておられますが、そのようにされている経緯を教えてください。

等哲郎(ひとし てつろう)氏。トヨタ自動車 新事業企画部 企画室長。1981年東京大学経済学部卒、同年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。99年人事企画室 グループ長、2000年第2調達部物流室長、2005年グローバル調達企画部第1プロジェクト推進室長、2006年N.U.M.M.I.副社長、2010年フタバ産業常務取締役(出向)、2011年事業開発部主査を経て、2013年より現職。F-グリッド宮城・大衡有限責任事業組合長、トヨタタービンアンドシステム取締役社長なども兼務
等哲郎氏(以下敬称略):ものづくりを日本で今後も継続していくための大きな課題として、高価なエネルギーコストをいかに低減できるかということがあります。東北では非常に不幸な震災があり、実は電力の安定供給に重大な問題があったということも明らかになりました。そうした中で、工場を安定的に稼働させるのはもちろん、万が一の災害時にも強く、地域にも貢献できるように、工場のコストダウンと安心安全の確保を両立できるポイントを探りながら、F-グリッドの開発を進めています。
採算性を確保するために、中心的な役割を担うのが、コージェネです。いかにして熱を最大限に活用できるかが鍵になります。そこで、工業団地に広大なパプリカの栽培工場をつくっていただき、その温室栽培に、コージェネの熱を活用していただくようにしました。
石井:トヨタの関係会社だけでなく、トヨタとは直接の関係がない会社とも一緒に組合をつくってプロジェクトを進めるのには相当なご苦労があったかと思います。
等:他社の協力を仰ぐのは、最も苦労したところです。やはり、「コストが高くなるけど、お願いします」では、駄目でしょう。コスト低減を達成できる見込みがなければ、こうした組合は成立しないと思います。