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[コージェネシンポジウム2017レビュー3]特別講演 海外コージェネ導入調査報告(タイ、ミャンマー)

[コージェネシンポジウム2017レビュー3]特別講演 海外コージェネ導入調査報告(タイ、ミャンマー)
2017年3月15日(水)公開
取材・文/小林佳代 写真/加藤康
 

コージェネ財団は2016年9月、海外でのコージェネ普及を探る調査を実施。タイ、ミャンマーの2国を訪れ、現地の工業団地や工場を視察した。発展段階もインフラ状況も異なる両国だが、調査に加わったIHIエネルギー・プラントセクター原動機プラント事業部の山口亨営業部長はタイでは「省エネ深化、製造業体質強化」を、ミャンマーでは「安定操業確保のための自立分散型電源」を切り口としたコージェネ提案が有効ではないかと報告した。

成長著しいアジアに注目

 コージェネ財団は海外市場へのコージェネ普及を視野に海外事例の調査を進めてきました。これまで調査の対象は欧米が中心でしたが、2016年は初めて成長著しいアジアに注目。企業が進出する際に政治・社会上の制約が少なく、実際に日系企業の進出事例も多いタイとミャンマーを選びました。9月中旬、電力会社、ガス会社、メーカー、関係する協会団体から15人が参加し両国を訪問。現地のJETRO(日本貿易振興機構)などから情報を提供していただいた上で視察に臨みました。

 タイの総発電量は日本の15%ほどです。国営だったタイの電力事業は日本に先駆けて1990年代前半に発送電分離が行われました。今では総発電量の半分ぐらいがIPP(独立系発電事業者)やSPP(小規模発電事業者)といった民間事業者によるものです。月に1回ほど停電はあるものの、おおむね安定した電力供給が行われています。

 タイでは電子部品、自動車部品など製造業が発展しています。自動車の生産台数では世界12位に位置しています。経済発展が続き電力需要は拡大するとみられることから、電力コストは今後も上昇するリスクを抱えています。タイ政府は省エネ、低炭素化を実現しようとしていますが、世間一般にその意識が浸透しているとは言い難いようです。

山口 亨(やまぐち とおる)氏
山口 亨(やまぐち とおる)氏
IHI エネルギー・プラントセクター 原動機プラント事業部 営業部長
1964年、大阪府生まれ。89年、大阪市立大学工学部機械工学専攻卒。同年、石川島播磨重工業株式会社(現 株式会社IHI)入社。航空宇宙事業本部陸舶ガスタービン事業部技術部、同事業部営業部ビジネス企画グループ課長、原動機セクター原動機プラント事業部内部統制G課長、同事業部営業部課長、エネルギー・プラントセクター営業・マーケティングセンター国内営業部原動機G主幹、金町浄水場エネルギーサービス株式会社取締役(現在も兼務)などを経て現職。

 タイでは2カ所を見学しました。1カ所目はタイ・ブリヂストンのノンケー工場。乗用車、商用車向けタイヤを24時間体制で製造しています。ノンケー工場では月に1回ほど発生する10~20分程度の停電で途切れてはいけない工程があることから、総需要電力の3分の1に当たる7.3MWのガスタービンコージェネを導入しています。

 このコージェネ導入はタイの環境政策に呼応したものではありません。タイ国内ではまだ省エネ、低炭素化の意識が浸透していないということもあり、あくまでブリヂストンの方針として決定したそうです。

 もう1カ所はロジャナ工業団地。150社以上の日系企業が進出するなど非常に大きな工業団地です。ここではSPPのロジャナ・パワーが545MWに及ぶ天然ガス焚きのコンバインドサイクル発電設備を導入しています。

 発生熱量全体の5%以上が熱利用可能なシステムであることがSPPのルール。ロジャナ・パワーでもコンバインドサイクルで発生した蒸気は蒸気タービンで発電するとともに一部を抽気して工業団地内に熱として供給しています。

 ロジャナ工業団地は2011年に大洪水で発電装置を含むすべてのものが半分ほど水につかってしまったという経験があります。その後、特に制御機器系の装置は仮に洪水があっても問題がないように設置位置をかさ上げし、また団地の外周をカバーする大防水壁も設置しました。こうした努力のかいもあり、工業団地内企業のエネルギー需要は回復傾向にあります。

 工業団地内の企業は系統電力を選ぶことも可能ですが、80%以上はロジャナ・パワーから電力を買っています。安定的に電力を供給している点や、少し安価な点などが評価されているものと思われます。

 タイの視察を終えて日本のコージェネ業界は工場や工業団地、都市においてコージェネを核としたエネルギーの面的利用の提案に事業チャンスがあると感じました。工業が発展し、今後も電力需要が拡大するであろうタイでは長期的に電力コストは上昇していくと見込まれます。熱と電力のトータルエネルギーコストに優位性が見込めれば自己電源としてコージェネを提案できると思います。

 一方、課題としては現在省エネを促進するために導入している各種インセンティブを維持・拡充することが挙げられます。また系統電力との連系やガス導管に関する規制が厳しいため、今後、緩和が進むことが期待されます。そうなるとさらにコージェネ導入も進むと考えられます。

 
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経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が取りまとめた「第5次エネルギー基本計画(案)」が公開され、当財団としてパブリックコメントを提出いたしました。その結果および「第5次エネルギー基本計画におけるコージェネの位置づけ」について、資料を取りまとめております。

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