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[コージェネシンポジウム2023レビュー3]鼎談 カーボンニュートラルがもたらす需給構造の大変革 国際的な枠組み構築しエネルギー安定供給の確保を

[コージェネシンポジウム2023レビュー3]鼎談 カーボンニュートラルがもたらす需給構造の大変革 国際的な枠組み構築しエネルギー安定供給の確保を
2023年3月29日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

「カーボンニュートラルがもたらす需給構造の大変革」をテーマとする鼎談では、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹で内閣官房参与の今井尚哉氏、ヴェオリア・ジャパン代表取締役会長の野田由美子氏が登壇した。コーディネーター役を柏木孝夫コージェネ財団理事長が務め、需給逼迫による価格高騰などで混迷するエネルギー市場の現状を語り合った。日本がエネルギーセキュリティを確保する方法、カーボンニュートラルへのトランジションを進めながら経済成長を果たす道筋などについて議論が進んだ。

エネルギー価格高騰の原因はウクライナ危機でなく脱炭素

柏木孝夫氏(以下敬称略):日本を始め、世界各国がカーボンニュートラル達成に向けて走り出しています。一方、ウクライナ危機を機に、エネルギーセキュリティにも改めて注目が集まっています。今のエネルギー市場の状況をどう見ていますか。

今井 尚哉(いまい・たかや)氏
今井 尚哉(いまい・たかや)氏
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
内閣官房参与
元内閣総理大臣秘書官
1958年新潟県生まれ。82年東京大学法学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省。2006年第1次安倍晋三内閣で内閣総理大臣秘書官を務める。08年経済産業省大臣官房総務課長、10年貿易経済協力局審議官、11年資源エネルギー庁次長を歴任。12~20年第2~4次安倍内閣で内閣総理大臣秘書官に。21年より現職。

今井尚哉氏(以下敬称略):エネルギー価格の高騰により、日本は40年ぶりのインフレに直面しています。私は、この原因はロシアのウクライナ侵攻ではなく、脱炭素だと思います。

 カーボンニュートラルの潮流が進む中で、各国は再生可能エネルギーの導入を拡大しています。新たなガス田や油田の開発は抑制されました。ところが、2021年には欧州で吹く偏西風が弱く、風力発電が不調で期待通りの電力が得られませんでした。英国はあわてて排出権を買い、石炭火力発電で穴埋めしています。一方、途上国は発展のために石炭やガスをどんどん使っています。供給が減り、需要が増え、世界的に〝玉(LNG)〟が足りない状態ですからインフレが起きるのは必然です。

 エネルギー安定供給とは、究極的にはエネルギーを余らせることです。長期的に脱炭素へ進むとしても、今は玉を用意しなくてはなりません。JERAは2021年にカタールとの年間550万t規模の液化天然ガス(LNG)の長期購入契約を打ち切りましたが、日本もまだガスは必要でしょう。

柏木:ヴェオリアはフランスに本拠地を置く企業です。欧州ではエネルギーセキュリティに関してどんな動きがありますか。

野田由美子氏(以下敬称略):ウクライナ危機以降、エネルギーセキュリティがクローズアップされています。気候変動問題に対応するグリーンディールを堅持しつつ、安定供給をどう確保するかに注目が集まっています。

 欧州連合(EU)は安全保障の対応策として「リパワーEU」という政策パッケージを公表しました。エネルギー供給の多角化や再エネ推進の加速に加え、需要サイドに働きかけ省エネも推進しています。

 重要分野として取り組むのが住宅用暖房や運輸での省エネです。さらに長期的にはすべての建物の省エネ性能の基準を義務づけようとしています。インセンティブも付与し、供給サイドの対応に需要サイドの対応を加えて気候変動問題への対応とエネルギーセキュリティを両立しようとしています。

 
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