
林泰弘(はやし やすひろ)氏
早稲田大学大学院先進理工学研究科教授、同大学先進グリッド技術研究所所長。1994年早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了、博士(工学)。同年茨城大学工学部助手、97年同講師、2000年福井大学工学部助教授、09年より現職
日本は、東日本大震災前の2010年時点では、2030年に総発電電力量に占める原子力発電の割合を50%以上とするエネルギー基本計画を立てていました。リスクはあるものの環境にやさしく、長期にわたって安定供給でき、日本にとって非常に大切な電源ということで原発を当てにしていましたが、震災を契機にその供給力は損なわれてしまったのです。
環境に熱心な方々は、その分を再生可能エネルギーで補えばよいと言いますが、不安定かつコントロールできない電源で、安定供給に資するものではありません。それを踏まえた上で、うまく活用し、既存の電源に匹敵するような形に改善していくことが重要です。
また、原発の発電量を全てLNG(液化天然ガス)火力や石油火力でカバーした場合、追加燃料コストは年間約3兆円にも上ります。これでは、最新の技術を持っている日本が、燃料を買うだけで疲弊してしまう恐れがあり、経済成長にもつながっていきません。
このようなエネルギー需給構造の変化の中で、熱エネルギーも含めた高効率なエネルギー利用が求められており、そこではコージェネレーション(熱電併給)システムの推進が必要です。また、大規模集中から自立分散へということで、リスクをヘッジするという意味でも電力レジリエンス(強靭さ)を確保する分散型電源の自立運転が鍵になります。そこでは、特に電力と熱の両方を供給できるコージェネの役割は非常に大きく、ライフラインとしても大事な役割を担うはずです。
太陽光発電などの再生可能エネルギーがFIT(固定価格買い取り制度)などの影響で非常にたくさんネットワークに流れてくると、需要側の品質が脅かされる懸念があります。安定供給を実現するために、例えばコージェネや蓄電池などとしっかり協調させていくことが大切です。
さらに、2016年の電力小売り全面自由化に向け、電力の安定供給、需要家の選択肢の拡大、新規事業の機会の創出を実現する電力システム改革において、コージェネに求められる役割は変化し、重要性を増していくと考えます。