柏木孝夫氏(以下敬称略): エネルギーに対する潮目はこの数年で大きく変わったと感じています。国内では東日本大震災とそれに伴う東京電力・福島第1原子力発電所の事故がありました。また電力・ガスが完全自由化されました。国際的には「パリ協定」が締結され、各国とも「低炭素」から「脱炭素」社会の構築へと舵を切り走り始めています。日々、企業や省庁に取材をしている山根さんはこうした変化の波をどう受け止めていますか。

山根小雪(やまね さゆき) 氏
日経BP社「日経エネルギーNext」編集長
2002年東京農工大学大学院工学研究科修了後、日経BP社に入社。「日経コミュニケーション」記者として通信自由化を取材・執筆。2007年から「日経エコロジー」編集部で地球温暖化など「環境ブーム」に触れる。2010年から「日経ビジネス」編集部でエネルギーや自動車など製造業を担当。2015年1月「日経エネルギーNext」創刊時より編集長を務める。
山根小雪氏(以下敬称略): 私も今、本当に大きな変化を感じています。後から振り返った時、「2017年は大きな節目の年だった」と思うはずです。東日本大震災後に高まった省エネ志向は定着し、電力需要を減少させています。固定価格買取制度(FIT)により再生可能エネルギーは大量に導入され、電力・ガスシステム改革も進んでいます。こうした変化は徐々に従来型の電力システムに影響を及ぼすようになりました。そして、2017年は大手電力会社をはじめとするエネルギー業界の関係者に意識の変化が見えるようになりました。契機となったのは、電力需要が高まる夏季の昼間に大手電力会社の火力発電所が停止を余儀なくされたこと。太陽光発電が昼間の電力需要を賄うようになったためです。
大手電力会社は分散型の電力システムに取り組むと発表し、経済産業省幹部は「再エネは主要電源の1つ」と発言しました。いずれも以前はなかったことです。分散型の電力システムへと進む流れは今後さらに加速すると思います。