コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(ACEJ)主催による特別講演会の第2部では、三井不動産 ビルディング本部 運営企画部長の丸山裕弘氏、トヨタ自動車 新事業企画部 企画室長の等哲郎氏、清水建設 ecoBCP事業推進室長の那須原和良氏、日本総合研究所 執行役員・創発戦略センター所長の井熊均氏が、パネリストとして登壇。コーディネーターはACEJ専務理事の石井敏康氏。前回リポートした前編では、各社がスマートコミュニティ事業を手掛ける狙いや、期待する効果などについて言及。省エネや都市防災力の向上という観点から、コージェネレーション(熱電併給)システムが果たす役割の重要性が指摘された。また、国内のみならず海外でのニーズの大きさなどが示され、今後のビジネスチャンス拡大に期待感が高まった。
この後編では、現状の課題や普及促進策とともに、成長戦略につなげるための要件が挙げられた。さらに、エネルギー業界や行政に対する要望などにも議論は及んだ。

三井不動産 ビルディング本部 運営企画部長の丸山裕弘氏
石井敏康氏(以下敬称略):日本の都市も世界の都市と競争することになります。スマートコミュニティによってネットワーク化すると、街全体の価値は高まるものでしょうか。
丸山裕弘氏(以下敬称略):省エネや低炭素化を目指していく上で、エリアでエネルギーマネジメントしていくことが非常に重要だと考えています。これにより、街全体のエネルギー効率を飛躍的に向上させることができます。
一昨年の夏、電力使用制限令が出た際に、徹底したピークカットが求められました。その時に、同じ用途の建物でも、電力の需要曲線が異なることが明らかになりました。これらの建物を組み合わせて最適化を図ると、全体のエネルギー使用のピークを大幅に削減でき、総合的なエネルギー効率を向上できるのです。また、エリアが広いほど採算性も高まることが分かりました。都市防災力向上のためにも、できるだけ広い範囲で事業展開をすることが重要だと考えます。

トヨタ自動車 新事業企画部 企画室長の等哲郎氏
等哲郎氏(以下敬称略):実は、F-グリッドの中でも、トヨタ自動車東日本の工場が使用するエネルギー量が全体の8、9割ほどを占めています。最初は、トヨタ自動車東日本の工場単体でエネルギーマネジメントする方法を考えていたんですが、熱の使用パターンが異なる他の工場を組み合わせて制御した方が、さらに省エネ性が10%ほど高まることが、試算によって分かりました。ですから、今回のような周辺工場も巻き込んだ構想になったのです。
石井:周辺と連携する際には、課題もあると思います。
那須原和良氏(以下敬称略):コージェネで電力や熱を街区で融通する場合、熱導管や電線の道路占用は道路管理者に委ねられていますが、まだ地域によって温度差があるようです。コージェネを核とした面的利用などの先導的事業に対しては、確実に道路占用が認められることを望みます。ぜひ規制改革・緩和の中で対応いただきたいと思っています。

右の手前から、日本総合研究所の井熊均氏、清水建設の那須原和良氏、トヨタ自動車の等哲郎氏、三井不動産の丸山裕弘氏のパネリスト4人。奥はコーディネーターを務めたACEJ専務理事の石井敏康氏