
柏木孝夫 コージェネ財団理事長
コージェネ財団は東京・イイノホールで「コージェネレーション 新たな価値創生への挑戦」と題した特別講演会を、2017年7月20日に開催した。
開会に当たり主催者として挨拶した柏木孝夫コージェネ財団理事長は2011年の東日本大震災後、省エネルギー性や災害時のBCP(事業継続計画)性に優れるコージェネレーション(熱電併給)システムは着実に普及が進んでいることを説明した。特に昨年は、経済産業省が排熱を未利用エネルギーと位置づけ、企業が活用を進めた場合には省エネの取り組みの一環とみなす制度を創設。「電気と熱を同時につくり出すコージェネはエッセンシャルなファシリティーとして定着しつつある」と指摘した。
柏木理事長は「コージェネは産業用、業務用、家庭用といずれの分野も出力やサイズ、機能が多様化し、様々な局面でそれぞれの良さを発揮できるようになった。今後は熱、電気に加え、発生する二酸化炭素(CO2)も有効活用する『トリジェネレーション』としてさらに発展・飛躍するだろう」という明るい見通しを示した。

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部の茂木正 政策課長
続く来賓挨拶では経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部の茂木正政策課長が「エネルギーは大きな事業者が集中的につくり供給する時代から、自らつくり使う時代になった。今は新たなエネルギーシステムの姿を模索する草創期にある。多くの課題があり、これらを解決しながら将来を構築していく必要がある。その際、コージェネのような地産地消のエネルギーは重要な役割を果たすことになると思う」と述べた。
折しも昨年11月には、地球温暖化対策の新たな枠組みである「パリ協定」が発効した。日本は2030年度に温室効果ガスを2013年度比26%削減、2050年までに同80%削減という高い目標を掲げている。茂木課長は「今までの延長線上では実現し得ない数字であり、技術だけでなく社会システム全体のイノベーションが必要」と指摘し、エネルギーを供給する側、使う側が議論を深めることの重要性を示した。