スペシャルリポート

[コージェネ財団 特別講演会2016レビュー3]鼎談 自由化時代における エネルギー・環境イノベーション戦略(後編)

[コージェネ財団 特別講演会2016レビュー3]鼎談 自由化時代における エネルギー・環境イノベーション戦略(後編)
------------------
2016年9月7日(水)公開
取材・構成・文/中村実里 写真/加藤康
 

前回の前編に続き、コージェネ財団が7月21日に開催した特別講演会における「自由化時代におけるエネルギー・環境イノベーション戦略」と題した鼎談の後編。内閣府総合科学技術・イノベーション会議の久間和生議員、名古屋大学 大学院環境学研究科 持続的共発展教育研究センターの杉山範子特任准教授、コージェネ財団の柏木孝夫理事長が、地産地消型エネルギーシステムによる超スマート社会と、それを実現していく上でのコージェネの役割や可能性について議論・提言する。

日本の独自技術で世界の気候変動対策に貢献

「新たな価値の創成がSociety 5.0の目指すところで、サプライチェーンを含めたエネルギーを中心につながっていくことになります」(久間氏)
「新たな価値の創成がSociety 5.0の目指すところで、サプライチェーンを含めたエネルギーを中心につながっていくことになります」(久間氏)

久間和生氏(以下敬称略):COP21の大きな成果は、全ての国が気温上昇を産業革命前と比べて2℃よりも下回る水準に抑えるとする従来からの目標のみならず、さらに1.5℃未満にする努力をしていくと示したことです。大変、アグレッシブな目標です。

 そして、COP21首脳会合での安倍首相のスピーチでは、2020年に、現在の1.3倍に相当する年間約1.3兆円の気候変動対策支援を実施するとしています。加えて、気候変動対策と経済成長を両立しながら目標を達成するために、どのようなイノベーションを起こせばよいのかを日本で考え、日本独自に実践していくことを約束しました。これは非常に大きな成果だと思います。

柏木孝夫氏(以下敬称略):日本独自と言われていますね。日本独自のものを開発して世界で使っていただくというわけです。

久間: そうです。柏木先生がおしゃっているデジタル革命が中核になります。エネルギーシステム統合技術、分散型、集中型、コージェネ、水素など様々なものが出てきますが、これらを最大限にうまく組み合わせながらICT(情報通信技術)を駆使し、安定かつ安全にエネルギーを供給できるようにする。これは並大抵の技術では実現できません。難しい課題です。

 COP21の2℃目標を実現するためには、世界の温室効果ガス排出量を2050年までに、現在の約半減に相当する240億トンまで抑えることが必要です。この2050年を見据えて、エネルギー・環境イノベーション戦略では、削減ポテンシャルが大きな有望な技術を特定しました。AI(人工知能)、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などを活用したエネルギーシステム統合技術、次世代パワーエレクトロニクスや革新的センサー、多目的超電導といったシステムを構成するコア技術。さらには、分離膜や触媒など革新的素材を使った革新的生産プロセス、超軽量・耐熱構造材料、蓄電池、水素技術、太陽光発電、地熱発電、CO2固定化・有効利用技術の7つの個別技術を挙げています。

柏木: コプロダクションの技術やシステムは重要ですね。石炭火力システム単体ではなく、それにCO2分離・回収装置などを付加したり、化学工場に発電システムを合わせるなど高度なシステムを輸出していくのです。電気、熱、ならびに物質を上手く使って、CCS(CO2回収・貯留技術)からCCUS(CO2回収・貯留および有効利用技術)を提案します。これが日本のお家芸になるはずです。

「日本版首長誓約のモデル地域では、再生可能エネルギーがあまり潤沢ではなく、コージェネの方がポテンシャルは高いと考えています」(杉山氏)
「日本版首長誓約のモデル地域では、再生可能エネルギーがあまり潤沢ではなく、コージェネの方がポテンシャルは高いと考えています」(杉山氏)

杉山: たくさんの技術があって期待しているのですが、誰がシステムのデザインを描き、誰がそれを実社会へ導入して、次世代のインフラをつくっていけばよいのでしょうか。

久間: 日本全体の巨大なシステムを考えるアプローチのみでは、難しいでしょうね。System of Systems のアプローチが必要です。

その一つの手法として、地産池消システムのような小さなシステムの構築から始める手があります。将来的にそれぞれがつながることを念頭に置きながら、小さなサブシステムから構築するという考えで進めれば、巨大なシステムの実現は可能です。

 
前ページ前ページ 12 次ページ次ページ
 
スペシャルリポート 記事一覧
 
 
 
News & Topics

来る2月15日、コージェネ財団は、「IoTネットワークによる超スマートシティへのアプローチ」をテーマに、「コージェネシンポジウム2018」を東京・千代田区のイイノホールで開催します。翌16日には、テクニカルツアーも実施します。ぜひご参加ください。

詳細はこちら詳細はこちら

一般財団法人
コージェネレーション・
エネルギー高度利用センター

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-4
アーバン虎ノ門ビル4階
TEL. 03-3500-1612
FAX 03-3500-1613