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[コージェネ財団特別講演会2022レビュー3]基調講演 水素エネルギー利活用と今後の展望 脱炭素社会実現の戦略物質として普及拡大

[コージェネ財団特別講演会2022レビュー3]基調講演 水素エネルギー利活用と今後の展望 脱炭素社会実現の戦略物質として普及拡大
2022年9月14日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

九州大学副学長・主幹教授で水素エネルギー国際研究センター長を務める佐々木一成氏は「水素エネルギー利活用と今後の展望」をテーマに基調講演を行った。水素が脱炭素社会実現に貢献する戦略物質と指摘した上で、その普及拡大に向け、サプライチェーン構築や支援制度確立が必要なことを説明した。世界各国が水素戦略に力を注ぐ中、日本も産官学が連携し長期投資に乗り出すことで、産業・社会のパラダイムシフトを起こし、水素社会を実現すべきと展望を示した。

水素はすべての部門の脱炭素化に貢献する

佐々木一成(ささき・かずなり)氏
佐々木一成(ささき・かずなり)氏
九州大学副学長・主幹教授
水素エネルギー国際研究センター長
 
Profile
1965年京都生まれ。1987年東京工業大学工学部卒、1989年同大学院修士課程修了。1993年スイス連邦工科大学チューリッヒ校工学博士号取得。独マックスプランク固体研究所を経て10年間の在欧後、1999年九州大学・助教授、2005年教授、2011年主幹教授に就任。現在、九州大学副学長(産学官連携、エネルギー研究教育機構担当)、水素エネルギー国際研究センター長、次世代燃料電池産学連携研究センター長を務める。主に、燃料電池の材料・プロセス研究に従事。水素関連などの産学官地域連携を進め、九大「水素プロジェクト」を先導。

 脱炭素化を実現する技術として、燃焼してもCO2を排出しない水素・アンモニアに注目が集まりつつあります。

 私は経済産業省の総合資源エネルギー調査会 水素政策小委員会とアンモニア等脱炭素燃料政策小委員会の委員長を務め、水素社会実現に向けた議論を進めています。水素やアンモニアの普及・拡大に必要なサプライチェーンを皆さんとともに10~20年かけて構築したいと考えています。

 国内で運輸、産業、民生、電力部門から排出されるCO2量は合計で約11億tです。脱炭素社会の実現には、それぞれの部門にCO2排出量をゼロにする技術を入れなくてはなりません。

 運輸部門で期待される脱炭素化技術は電気自動車(EV)や水素自動車です。CO2排出量の約4割を製鉄が占める産業部門では、CO2を排出しない水素還元製鉄が重要技術と注目されています。産業部門や民生部門の熱源としてもCO2フリーの水素が活躍します。

 電力部門のカーボンニュートラル電源といえば原子力や再エネですが、調整力として火力もゼロにすることはできません。そこで注目されるのが水素発電です。余った電力を蓄える上でも、化学的なエネルギーキャリアとして水素が役立ちます。

 このように、すべての部門に水素が登場します。水素は脱炭素社会実現に貢献する戦略物質と言えます。

 我々は一次エネルギーとして石炭、石油、天然ガスなどの化石資源を輸入しています。安全性が確認された原子力も使い、また太陽光、風力、水力など多様な自然エネルギーの利用を増やしていこうとしています。

 これらの一次エネルギーはこれまで、二次エネルギーの電気や熱に転換してきました。二次エネルギーの3本目の柱として、貯蔵しやすくパイプラインでも融通しやすい水素を確立しようというのが今の動きです。

 
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