
コージェネ財団
柏木孝夫 理事長
2024年5月、政府は「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律(水素社会推進法)」と「二酸化炭素の貯留事業に関する法律(CCS事業法)」を成立させた。
本年5月よりエネルギー基本計画の改定に向けた議論を実施している。2023年に成立した「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)」「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(GX脱炭素電源法)」と合わせ、グリーントランスフォーメーション(GX)を加速し、脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障の同時実現を目指そうとする取り組みが一歩ずつ進んでいる。
「特別講演会2024」の冒頭、開会挨拶に立ったコージェネ財団の柏木孝夫理事長は「エネルギーシステムは従来の大規模電源一辺倒から、太陽光、風力、水力、地熱など分散型電源も取り入れた百花繚乱のシステムへと変貌しつつある」と現状を説明した。
社会事情や経済事情によって、エネルギーミックスの構成比率は柔軟に変化することが求められる。その際、有用なのが電気も熱も生み出せるコージェネレーション(熱電併給)システムだ。需要地に設置することで系統電源を有効利用しながら潮流制御し、エネルギー価格の上昇を抑制することに貢献し得る。
日本は家庭用から産業用まで、様々な種類のコージェネを実用化している。燃料を水素へと転換できれば、脱炭素化が可能だ。地域冷暖房や地域熱供給のあり方も大きく変わる。柏木理事長は「カーボンニュートラルというキーワードの下、得意芸を生かした日本ならではのGXを実現できる。これまでコツコツと取り組んできたことを結実させることが可能だ」とコージェネ普及のメリットを強調した。
カーボンニュートラルの達成には水素のほか原子力、メタネーション、プロパネーションなど、多様な取り組みが必要となる。柏木理事長は「これまで競合してきた業界も一体となって、多様な選択肢をどう活かすかを総合的に考えるべき時代になっている。それができた国こそが、成長戦略を描き、最終的に勝者になっていく」と展望を示した。
続いて、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長の井上博雄氏が来賓挨拶で登壇し、GXに関係する政府の取り組みを説明した。
日本は2020年に2050年のカーボンニュートラル達成を宣言した。カーボンニュートラルは世界でも大きな流れになっている。一方、その実現に向けた道筋は険しく、新しいイノベーションと知恵が不可欠だ。
各国とも、企業の前向きな投資を促進しようと、米国は「インフレ削減法(IRA)」、欧州連合(EU)は「グリーン・ディール産業計画」などによって、産官学連携の取り組みを抜本強化している。井上氏は、「温暖化への対策というだけでなく、GXの推進によって産業競争力を高め、世界市場での勝ち残りにつなげようという思惑がある」と指摘する。