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[コージェネ財団特別講演会2019レビュー2]鼎談 都市とエネルギー ~脱炭素社会の早期実現に向けた分散型エネルギーシステムの重要性

[コージェネ財団特別講演会2019レビュー2]鼎談 都市とエネルギー ~脱炭素社会の早期実現に向けた分散型エネルギーシステムの重要性
2019年9月11日(水)公開
構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

特別講演会では「都市とエネルギー」をテーマに、日本設計の千鳥義典代表取締役社長執行役員、日本エネルギー経済研究所の豊田正和理事長、コージェネ財団の柏木理事長が鼎談を行った。政府は今年6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を閣議決定。今世紀後半のできるだけ早期に「脱炭素社会」の実現をめざしている。エネルギーを取り巻く環境が大きく変わる中、長期的に志向すべきエネルギー戦略の方向性や具体的な都市づくり、街づくりのあり方などについて語り合った。

日本が参考にすべきは
バランス重視の英国の方向性

柏木孝夫氏(以下敬称略):政府は6月に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を閣議決定しました。最終到達点として「脱炭素社会」を掲げ、それを今世紀後半のできるだけ早期に実現すると同時に、2050年までに温室効果ガスを2013年比で80%削減するという野心的な内容です。日本はこれからどのような具体策を講じていくかが課題となります。

豊田 正和(とよだ まさかず)氏 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 理事長
豊田 正和(とよだ まさかず)氏
一般財団法人日本エネルギー経済研究所 理事長
1973年東京大学法学部卒業、同年通商産業省(現・経済産業省)入省。1979年プリンストン大学ウッドロウ・ウィルソン行政大学院修士課程を修了。OECD国際エネルギー機関勤務を含め、貿易・エネルギー・環境などの分野で幅広い経験を積む。通商政策局米州課長、通商機構部長などを歴任。2003年商務情報政策局長、2006年通商政策局長、2007年経済産業審議官、2008年内閣官房宇宙開発戦略本部事務局長に就任。内閣官房参与としてアジア経済と地球温暖化を担当。2010年より現職。経済産業省資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会において委員を務め、第5次エネルギー基本計画案の取りまとめに尽力。

豊田正和氏(以下敬称略):気候変動の問題は世界中で議論されています。例えば、エネルギートップ企業のロイヤル・ダッチ・シェルは、2018年に「スカイシナリオ」を発表しました。トップダウン型、集権的アプローチで進める「マウンテンシナリオ」や、ボトムアップ型、分権的アプローチで進める「オーシャンシナリオ」では、2100年でもカーボンゼロを達成できないという予想から、シェルはそれらのハイブリッドのスカイシナリオで気候変動に対応し、2070年頃にカーボンゼロを実現する道筋を示そうとしています。集権型と分権型のバランスが必要という考え方です。脱炭素に動く世界の主要国が狙うのもスカイシナリオです。

 また、経済産業大臣の私設懇談会で、2017年から長期的なエネルギー政策の方向性を議論してきたエネルギー情勢懇談会は2018年に提言を取りまとめ、再生可能エネルギー、水素、原子力などあらゆるシナリオを並行して走らせ、見極めようという内容になっています。再エネや蓄電池やコージェネレーション(熱電併給)システムを取り込み、デジタル技術を駆使しながら消費者がプロシューマーとなって全体最適化を図る分散型エネルギーシステムも、そのシナリオの1つです。

 今後は、都市の中にそういう分散型システムをバランスよく導入することが必要です。その時、コージェネは集中型、分散型の接着剤として大きな役割を果たすのではないかと思います。

柏木:世界の主要国の中で、原子力と再生可能エネルギーをバランスよく使う英国は東日本大震災前の日本のエネルギーシステムに似ていて、参考にしやすいように感じます。

豊田:おっしゃる通りです。ドイツは原子力をやめ、いずれ石炭火力もやめる方針です。英国は現実主義路線で再エネに力を注ぎ分散型を進めつつも、原子力も残してバランスを取ろうとしています。日本が志向すべきは英国の方向性だと思います。

シェルのスカイシナリオ

シェルのスカイシナリオ
 

 
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