東京オリンピックまで、あと3年となった。過去の開催地の多くは、かつての東京同様にオリンピックに併せて多くのインフラ整備が進められてきた。大きなイベントは、都市づくりに新しい「ギフト」をもたらす。オリンピックのようなイベントは、競技のための施設整備に留まることなく、後の都市に必要な施設をそこで整備することができる。2012年のロンドン大会で「環境」が重視されたことは記憶に新しい。そこで、本稿では、ロンドン大会がもたらしたエネルギーインフラに着目し、まとめてみたい。
ロンドン大会から学ぶことは大きい。それは、一つに、ロンドンが最初からレガシーを考えた計画を持っていたこと、そして、地域の質的改変という都市再生が実現しているためである。都市の質的改変の一要素としてエネルギーインフラ整備はあるものの、最終的にもたらされたものは、都市に必要とされる複数の目的の実現であり、そこでは地域を激変させるシナリオとその実現を目にすることができる。東京にはロンドン・オリンピックのメイン会場ほどの衰退した地域は存在しないものの、ロンドンがいかに環境重視型のオリンピック・パークを実現したかは、参考になると考える。