柏木孝夫氏(以下敬称略):この鼎談は「カーボンニュートラルの実現と新しい街づくり」をテーマに議論を深めていきたいと思います。
まず確認したいのが、世界のカーボンニュートラルの潮流です。2025年1月に就任した米国のトランプ大統領は「パリ協定」から離脱する大統領令に署名しました。この動きによって、世界の流れは変わるでしょうか。

宮本 洋一 氏(みやもと・よういち)
清水建設代表取締役会長
1947年東京都生まれ。1971年東京大学工学部建築学科卒業。同年清水建設入社。建築本部工事長、営業統括室専任市場開発部長、耐震営業推進室長、名古屋支店副支店長、首都圏事業本部東京支店副支店長などを経て2003年執行役員北陸支店長に就任。2005年執行役員九州支店長、2005年常務執行役員九州支店長、2006年専務執行役員九州支店長、2007年専務執行役員営業担当を歴任。2007年6月代表取締役社長に就任。2016年4月より現職。
宮本洋一氏(以下敬称略):世界の潮流が変わることはないし、変えてはいけないと思います。気候変動の影響は誰もが身近に感じているはずです。日本でも台風発生の海域や動き方、魚やフルーツの獲れる場所などが変わってきています。明らかに変化しているものに対し、我々はきちんと取り組みを続けていかなくてはいけません。
村木美貴氏(以下敬称略):私も同じ考えです。どの国においても、気候変動の影響は理解されています。米国でも西海岸や東海岸で、グリーンであることの重要性を多くの人が認識し、アクションしています。ロンドンでは、グリーンに開発されたビルでないと投資も入居者も集まらなくなっています。世界のこうした動きが変わることはないと思います。
柏木:地球温暖化は「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」で科学的に証明されています。「産業革命前からの気温上昇幅1.5度」を超えると、感染症の危険が増し、人間の健康が脅かされると言われています。世界中、どの国で誰に対して調査をしても、SDGsの17項目のうち最も重要なのは13番目の「気候変動に具体的な対策を」になります。世界全体のカーボンニュートラルへの流れは変わらないということですね。
それを確認したところでカーボンニュートラルを実現する街づくりについてお聞きしていきます。街づくりはSDGsの中でも、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「住み続けられるまちづくりを」「パートナーシップで目標を達成しよう」といった項目に関わります。
特に重要なのがパートナーシップです。清水建設のようなゼネコンはこれまで、質の高い建物をいつまでに建てるかをコントロールすることが最大のテーマだったと思いますが、街づくりとなると交通、通信、エネルギーなども関わり、連携が必要になりますね。
宮本:おっしゃる通り、個々の取り組みだけでなく“面”での取り組みが必要になります。我々は協力業者をマネージしながら様々な建物、構造物をつくるノウハウを持っていますが、それだけではカーボンニュートラルを実現する街づくりは達成できません。我々が持つノウハウを活かしつつ、他の技術や特色を持つ企業とコラボレーションしていかなくてはなりません。