
山地 憲治 (やまじ けんじ)氏
公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)理事長
1950年香川県生まれ。1972年東京大学工学部原子力工学科卒業。1977年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士。1977年電力中央研究所に入所。米国電力研究所(EPRI)客員研究員、電力中央研究所・エネルギー研究室長等を経て、1994年より東京大学大学院工学系研究科教授、2010年より地球環境産業技術研究機構(RITE)理事・研究所長、2019年より副理事長・研究所長、2021年より理事長・研究所長。東京大学名誉教授。専門分野はエネルギーシステム工学。
昨年来、グリーントランスフォーメーション(GX)を推進するための法整備が進んでいます。その1つに「CCS事業法」があったことから、CCS(CO2の回収・貯留)の研究開発に取り組んできた公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)にも注目していただく機会が増えています。
RITEは京都に本部を置き、研究部門の142人を含む181人の人員で活動しています(2024年4月1日現在)。カーボンニュートラルの実現が求められる時代において、CCSやDAC(直接空気回収技術)など、様々な先進技術に基づく事業を展開しています。
RITEは1990年、米国・ヒューストンで開催された先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)において、日本が「地球再生計画」を提唱したのをきっかけに設立されました。この計画は産業革命以降の200年間に様々な負荷をかけて変化させてしまった地球環境を、100年かけて再生させようというものです。計画を具体化するには、革新的な環境技術の開発やCO2吸収源の拡大が必要となることから、それらを国際的に推進する中核的研究機関として発足しました。
RITEにはシステム、バイオ、化学、CO2貯留という4つの研究グループがあります。
システム研究グループはシステム的な思考、分析手法を通して、温暖化問題に対し、より良い意思決定ができるようサポートしています。
日本の温室効果ガスのほとんどはエネルギー起源のCO2です。RITEはエネルギーシステムの技術をモデル化して、CO2削減のため、どの技術対策をどれぐらい行えばよいのかというシステム分析を進めています。
代表的なのは、「ALPS」という名称で行っている地球温暖化対策技術の分析と評価に関する国際連携事業です。1期5年間で、今は4期目に入っている長期的な研究です。RITEはこの事業を通して、様々な温暖化対策のシナリオを分析してきました。
2019年以降、技術革新・社会変化によるエネルギー需要変化に関してモデル分析する「EDITS」と呼ぶ事業も行っています。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、エネルギーの使い方が根本的に変わる可能性があることから、国際連携しながら研究を進めています。
そのほか、データセンター設立や半導体製造などの影響で電力需要が増える可能性を踏まえ、長期の電力需給分析なども行っています。
バイオ研究グループはバイオとデジタル技術を掛け合わせ、イノベーション創出に挑戦しています。「RITEバイオプロセス」という独自の生産技術を保有しており、それを使ってスマートセル創成技術の確立や菌体開発プラットフォームの構築などに取り組んでいます。グリーンフェノールの生産技術開発で培った技術を基盤に、各種のグリーン化学品の製造技術にも挑戦しています。民間企業と連携し、様々な研究開発・事業化を推進しています。
RITE発のスタートアップであるGreen Earth Institute(GEI)は2021年に東京証券取引所(マザーズ)に上場しました。アミノ酸や化粧品用エタノール、バイオファウンドリ事業などを進めています。
■ 地球再生計画とRITEの役割
