
藤田昌宏 氏(ふじた・まさひろ)
石油資源開発株式会社(JAPEX) 代表取締役社長
1954年生まれ。1977年東京大学法学部卒業。同年通商産業省(現経済産業省)入省。2003年資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長、2004年大臣官房審議官(政策総合調整担当)、2005年内閣官房知的財産戦略推進事務局次長、2007年関東経済産業局長、2008年貿易経済協力局長を経て2009年経産省を退官。2010年住友商事に入社。2014年同専務執行役員、2017年同副社長執行役員、2018年同代表取締役副社長執行役員を歴任。2019年石油資源開発代表取締役副社長執行役員を経て2019年より現職。
日本は2021年4月、2030年度に温室効果ガスを2013年度比46%削減する目標を表明しました。2020年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量は約314億tで、そのうち日本が占める比率は3.2%です。
一方、国内総生産(GDP)で日本が占める比率は世界の6%です。省エネに努めてきた日本は、既に非常にエネルギー効率の良い国です。46%削減は困難だと指摘する人もいますが、約束をした以上、“乾いたぞうきん”を絞り、いかに削減目標を達成するかが課題です。
カーボンニュートラルの実現を目指し、世界各国は様々なエネルギー政策を講じています。
米国は、2022年に「インフレ抑制法」という法律を定めました。この法律は、エネルギーセキュリティー抑制と気候変動対策に対する投資に予算の85%に当たる3690億ドル、日本円で51兆円もの資金を充当することを定めています。
CCS(CO2の回収・貯留)を実行した際に1t当たり85ドル補助する制度も盛り込んでいます。CCSは完全に外部不経済ですから、本格的に推進する際には、政府の支援制度が不可欠で、米国はその先鞭をつけた形です。
欧州連合(EU)もエネルギー分野で様々な政策を打ち出しています。代表的なものが2020年1月に発表した「欧州グリーンディール投資計画」です。脱炭素社会の実現に向け、官民合わせて10年間で1兆ユーロ、日本円で約150兆円の投資を行うことをうたっています。
こうした中、日本は今年5月、「GX推進法」を定めました。GX推進戦略の策定・実行、「化石燃料賦課金」の導入、「成長志向型カーボンプライシング」の導入、「GX経済移行債」の発行などを盛り込む大仕掛けの法律で、経済産業省出身の私から見ても非常に画期的です。気になるのは、将来の負担イメージが今ひとつ明確ではないことです。今はお金を使い、将来それを取り返すという制度がうまく回っていくか否かが焦点になると思います。