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[コージェネシンポジウム2021レビュー1]概要報告 ゼロエミッション国家への挑戦 コージェネの徹底活用で脱炭素化実現へ

[コージェネシンポジウム2021レビュー1]概要報告 ゼロエミッション国家への挑戦 コージェネの徹底活用で脱炭素化実現へ
2021年3月10日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤 康
 

コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(コージェネ財団)は2021年2月5日、東京・イイノホールで「コージェネシンポジウム2021」を開催した。「ゼロエミッション国家への挑戦」をテーマに有識者や企業経営者らが講演や鼎談を行った。「パリ協定」の運用が始まり世界が脱炭素化に向かって走り出す中、日本に課せられた課題、コージェネレーション(熱電併給)システムが担う役割の大きさなどを語り合った。

首相宣言はエネルギー政策の転換点

コージェネ財団 理事長 柏木孝夫
コージェネ財団 理事長 柏木孝夫

 2020年、気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」の運用が始まった。世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より低く、できれば1.5度に抑えようと、ゼロエミッションへの動きが国内外で活発化している。日本でも昨年10月、菅義偉首相が国会での所信表明演説の中で2050年までに二酸化炭素(CO2)ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)とする目標を表明した。

 コージェネ財団が開催した「コージェネシンポジウム2021」では冒頭、コージェネ財団の柏木孝夫理事長が主催者挨拶に立ち、「菅首相のカーボンニュートラル宣言から、脱炭素化への流れが加速している。このシンポジウムではゼロエミッション達成に関する多角度からの情報を提供していきたい」と語った。

 ゼロエミッション達成のためには、電化の推進が重要となる。柏木理事長は「インフラを伴うエネルギーシステムを急激に大きく変えることは難しい。まずは省エネを徹底すること、また大規模電源と分散型電源が共存し、強靱性を備えながら脱炭素化していくシステムを構築することが必要となる。電気と熱を同時に生み出すコージェネレーション(熱電併給)は省エネ性が高く再生可能エネルギーの調整機能も果たす。ディマンドサイドにおけるエネルギーシステムの極めて重要なハブになる」と語り、改めて脱炭素化に向けたコージェネの有望性を示した。

経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部 部長 茂木正 氏
経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部 部長 茂木正 氏

 続いて、来賓の経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部の茂木正部長が登壇した。茂木部長は菅首相のカーボンニュートラル宣言を「環境政策・エネルギー政策の大きな転換点」と指摘。現在、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論においても重要なテーマとなっていることを説明した。

 カーボンニュートラル実現に当たって、茂木部長は「供給サイドでは電力セクターの非化石化をどれだけ進められるかがカギ。再生可能エネルギーの導入拡大が必要だが、それには、安定性の確保や地域の理解、コスト負担などの課題がある。容易な道ではない」と語った。一方、需要サイドも使い方などの変革が求められ、産業部門で需要が大きい熱についても脱炭素化を進めていかなくてはならないことも指摘した。

 茂木部長は、「その中でコージェネの役割は三つある。熱の需要も同時に賄う省エネとしての役割。将来的にメタネーション・水素などに転換されると、熱需要自体が今の既存のインフラを使用して脱炭素化が可能。さらに、再エネが増える中での調整力も担う。そして、ここ数年大きな災害による停電もあり、コージェネがレジリエンスの重要な役割を担うことが改めて認識された。この重要性は変わらない」とコージェネへの期待を語った。

 
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